とある一日、天井裏の神秘 [ 3/5 ]

どうもこんにちは。三成様の忍び名前と申します。
三成様の忍びになったのは実はまだ幼い頃で、もう何年……6年くらいになるのかねぇ。
今俺の年が22かそこらだからそのくらだろう。
最初仕えた時はなんだこの青白い幽霊のような奴はと思いましたとも。
それと身体が細い事を言ったら斬りかかって来られて吃驚したが今ではいい思い出だ、そう思おう。


短気で怒りっぽい俺の主の相手は大変で忍びなのに毎日いつ刺されるか分からない恐怖に怯えた毎日を送っていた時もあったが、今では天井裏でボリボリ煎餅を食べて三成様を見守るくらい慣れた。(時々刀で天井を刺されるけどな!)

そんなぐーたら過ごしている俺だが、実はここいらの忍びを纏め上げる長だったりするわけよ!!
だから今日も後ろに控えている部下達に「長、しっかりして下さいよ」と諌められていたりする。
対して俺は「わーかってる!わかってっから!!」といいながらも横になりながら煎餅を食ってお茶を飲んでいた。
あーーー城からかっぱらったお茶はうめぇうめぇ

ちなみに俺の忍び装束はやっぱり佐助やかすがのように少し変わっていて、真っ白の布に紫の藤の花をほどこしたなんとも忍べない服。忍びを馬鹿にしているようなそんな服。
だが大丈夫。基本俺は空に居るからな。大丈夫大丈夫。


なんて考えていると部下から「長、文が届いております」と言われ、文を渡された。
俺は、「どれどれ」なんて開くが中身は佐助からの何とも下らない内容の文だったのでぐしゃぐしゃに丸めてぽいっと後ろの部下が居る辺りに投げ捨てた。
後ろから「あ、長っ!」と焦った様な部下達の声が聞こえて思わず喉で笑う。


俺は「いーのいーの」と言って天井の穴を覗くと下に居る三成様を見た。
三成様は今日も幽霊のようにひっそりと書物を読んでおられる。ほんと生気ねぇなあの人。


なんて心の中で馬鹿にしていたら不意に三成様が上を向き三成様を見ていた俺と必然的に目が合った。
暫くそうしていると光成様の口から「降りて来い」と声が出る。
俺は、やべぇ考えてたことがばれたかっ。なんて思いながら三成様の前に降り立ち頭を垂れ両腕を胸の前の辺りで構える。


「なんでしょうか三成様?」


軽くおちゃらけたように言うと刀で頭を打たれた。……かなり痛い……。
痛みに頭を抑えごろごろと畳の上を転がっていると三成様の「残滅するぞ」という怖いお言葉によってなんとか再び三成様の前まで来る。


「で?何?」

実は俺忍びの中でも珍しい、つか俺しか居ないだろうという、主に敬語をあまり使わない忍びなのだ。
名前は様付けなのだが、敬語が苦手でな。
だが、主三成様も敬語ではなくタメの方が気楽ならしく簡単にこの話し方を許してくれた。どうも嘘は嫌いらしく、俺の敬語は嘘っぽいとの事。酷ぇ。
俺だって自然に敬語が使いたいさ!


「名前、貴様また天井裏で煎餅を食べていたな」
「あ、ばれた?」
「ばればれだ馬鹿者。あれほど天井裏で煎餅を食うなといっているだろうが。」
「いや、天井裏で食う煎餅が一番美味くてだな」
「鼠と一緒に食う煎餅がか?」
「失礼な!!三成様の天井裏には鼠は居ねぇです!!」
「そうなのか?」
「俺の住処だからな」
「……。」
「いや、だって大半天井裏で過ごすし、さ……ね?」
「……。」
「ごめん、謝るから!だからそんな軽蔑したような目で俺を見ないで!!」


いや意外と三成様の天井裏住み心地良すぎて、だからもうほとんど自室と変わんないって言うかなんて言うか。


「貴様はもう天井裏に居るな」
「はぁ!?どうしてだよ!(そりゃ困る!!俺の都!!)」
「どうもあそこからの貴様視線は耐えられん」


と言って天井裏の穴を指差す三成様。
あ、そうですかそうですか。俺限定で耐えられませんか。


「俺の居場所なくなっちゃうんだけど」
少ししゅんとなって三成様に言えば、三成様は部屋の後ろを指差した。
思わずその指差した方向に首を向けるかそこには壁しかない。
ハッ!まさか壁の中に入れと!?壁に耳あり?目あり?みたいな??無理無理!!


「私の後ろに居ればいいだろう」
俺が変な考えをしていると三成様がそう言って俺を見据えた。
何故かそこで妙に納得した俺は「あ、そっか」と頷いてしまった。あとから思えば忍びが後ろに控えてる時点でおかしくね!?


「だけど天井裏の部下はそのままでいいか?」
「構わん」
「俺の後ろにも数人控えさせていい?」
「構わん」
「後ろで煎餅食べててもいい?」
「……五月蝿くしたら残滅だ」
「了解」


俺は天井裏に合図すると数人が天井裏から降り立ち俺の後ろへとまわる。
「じゃ三成様、俺達は後ろに居るんで何かあったら言ってくれな」
自分よりも低い位置にある三成様の頭をぽんぽんと叩くと刀で手首を切り落とされそうになったが変わり身の術で俺は気性の荒い主を見ながら部屋の隅で座りながら笑った。

三成様は怒って俺を斬り付けようと刀を構えたところで、調度廊下から半兵衛様の声がして三成様の怒りは反れた。
それはもう綺麗に。そしてどうやら秀吉様のところへ向かう様子の三成様を追いかけるべく立ち上がる。


そして俺の後ろに居る顔の青い部下達を見ながら「三成様は面白くて可愛いよな」なんて笑いながら言うと部下達に「長が分かりません」と
泣きそうな顔をされ、またそれがおかしくて笑いながら俺は廊下を出た。


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