四歳になった私はお爺さんと一緒に森に入り薬草ときのこを探していた。

「おおい紅太郎!ここにたくさん生えているぞ!」

と言うお爺さんの声が山が森に響く。
私は「うん!」と言ってお爺さんの声のする方へと言った。
お爺さんと一緒にきのこを採っていると、不意にお爺さんが「解熱の薬草が欲しかったんだが、無いな……」という事を洩らしていた。
少し悲しそうなお爺さんを見つめているとそれに気付き「なぁに紅太郎、そのうち沢山取れる!」と言って笑い飛ばして「家に帰ろう」と私の頭を撫でた。

だけどお爺さんの言葉が頭から離れなかった私は、静かに顔を上に向けざわりと吹く風に耳を傾けた。
すると不思議なことに風がその欲しいところへ連れて行ってくれるような気がするのだ。
これを始めたのはつい最近。今と同じような経路だ。
ざわざわと木々を揺らす風が私にあるところへ連れて行こうとしてるようだった。
その方へお爺さんと一緒に行くと本当にその薬草がそこにあるのだ。

お爺さんの嬉しそうな顔を見ているとこっちまで嬉しくなってきた。
そして家に帰ってお婆さんの作ったご飯を食べて一日を終える。というすごく平穏な日々を送っていた。


そして今日も新しい一日が始まる。と思っていたが今日は少し違っていた。
近くの川でお爺さんと一緒に顔を洗っていると、ふと誰かの視線を感じた。
その方へ顔を向ければそこには誰も居ない。そもそもこんな山奥に誰も来ない。
一体なんだのだろう、もしかしたら動物かな?という事で考えを纏めていると今度はさらに強い視線を感じた。
そしてまたそちらへ顔を向けた。だがそこには誰も居ない。一体なんだというのだ。

私は顔を空に向けて風の音を聞いた。
いつもと同じ風の音を感じながら私は視線を感じたところに風でを送るイメージをした。勿論これで何か分かる分けないのは分かっているが、もしも何か分かる事があったら面白いなぁ。と。
まぁ、私はエスパーでも千里眼の持ち主でもないからそんなことできるわけ無いけど!と考えた矢先、風から何か伝わってきた。
脳に直接くるようなそんな感じで、人が居る。と。
ほとんど直感に近いようなそれに私は恐怖を覚えた。きっとただそんな感じがしただけだ。そういう風に考え私はお爺さんと一緒に家に戻っていった。


(佐助視点)


部下によるとこの辺りの小屋に風魔が居るという。
最初は信じられなかった、だが部下が何人もあそこで紅髪の少年を見たという。
だが一体何のために幼い子の姿になって老夫婦の家に住んでいるのかが分からない。だから今日はそれを知るための調査に来た。

しかし部下の話はおかしい。
あいつは自分を見た者全てを殺している、それが何人も俺様の部下が見ているだと?
もしかしたらこれは風魔の罠かもしれない。俺様をおびき寄せる、いや、他の誰かをだ。
まぁ考えたって埒が明かない。そのために来たんだけどね。風魔とやりあうのは危険だがあのまま野放しに訳のわからに行動をされたらたまらない。
もしかしたらこれかの戦にかかわる重要なことかもしれない。

人の気配がする。
その方へ向かい音もなく木の上に立てば、小川があり、そこには確かに部下の言うと通り風魔の姿があった。
この気配、髪の色も風魔のものだ、間違いない。しかし、なんでまたあんな格好に??風魔に何か考えがあるのか!?


あーーー、もう俺様わかんない!考えるのも疲れてきたんだよね……。
最近旦那も竜の旦那と一戦を交えるって五月蝿いし、殴り愛の後の修理だってしなきゃいけないしさぁ!!
さっきから風魔も俺様のこと見てくるし俺様の存在に気が付いている。しょーがない、こうなったら一旦ここは引いて後から俺様の方から出向きますか。

「じゃあね風魔」

そう言って佐助はどろんっとふざけた音を出しながら闇に消えていった。





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