ようやく体が動けるようになったのは三日後の朝。ふらふらと体を起き上がらせて水瓶まで自分の足で歩き中の水を飲む。


外を見れば小太郎はどこかへ出かけているようだった。
この三日間は大変だった。隙あらば俺を襲おうとしていたためおちおち寝ても居られない。別に拒む理由は無かったが、自分が動けないのに他人に全てを任せるのは少しあれかと思っただけだ。


それと、昨日からだろうか、小太郎と俺、動物達以外の気配が濃い。恐らく小太郎の仲間か、敵かだろう。
夜、小太郎が小屋から離れて何かをしているのは知っていた。別に小太郎に話す事ではなかったから話してはいないがな。


どかりと床に腰を下ろし、胡坐をかいて近くなる小太郎の気配を感じながら俺は戸を見ていた。
小太郎を待っていたわけではない。外に居る主と話をしているのだ。この間会った猪の姿をした主。


話を聞くにどうやらやはり忍びで小太郎の敵らしい。人を殺め殺気を放っていたそうだ。姿を見るに真田の忍びらしい。
どうやらこの山は武田の近くの山らしくよく武田の方からその忍びが来るのを見るそうだ。


そこまでの話だけで大体のことは分かった。
と、主と話を終えたところで調度小太郎が帰ってきた。
小太郎は起き上がった俺に驚いた表情を見せ、俺の体をくまなく調べた。


「大丈夫だ。だいぶ楽になった。」
心配そうに見る小太郎に言ってやれば小太郎はやはり気になるのかまだ寝ていろと言うことを私に伝える。
しかしそう寝て居られるものではない。こうしている間にも山火事の気配がする。転々と二つだ。


山火事にあっている山に自分の生気を流し込み山が耐えられるようにする。大地に触れ、大地を伝いそれをする。
遠くからでも山の気配を感じることは出来るがまだ気配が弱く上手く出来ているのか分からないが今の自分にはそれしか出来ない。とりあえず気休めにでもなればと思っているのだがな。


そんなことを考えていると小太郎がぴくりと何かに反応し、外を見た。と思うとそこにはもう小太郎の姿は無く辺りに黒い羽が舞い散るだけだった。
きっと外に居た忍びの気配を感じ取ったのだろう。


しかし、そう言えば先ほど主が言っていた忍びは真田の忍びと言っていたではないか。
だとすると考えられるのは一人の人物。猿飛佐助ではないだろうか。
佐助がこの場所に小太郎が居るというのに気が付いたのだろうか。良く分からないが佐助には少し会ってみたい気もした。



prev next
back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -