辺りはもうすっかり暗くなってしまった。
しかし暗闇でもしっかりと辺りが見えるこの眼とひたすら歩き続けても疲れはしないこの体は便利なものだと思った。上のほうからは小太郎の気配が濃くそこにある。
さぁこの夜をどうやって過ごそうかそう考えた時に近くに小屋を見つけた。その小屋の中から気配はしない。


小屋に近づきずかずか中に入ると小屋の中は埃とカビ臭く、最近使っている形跡は無い。しばらくこの小屋を使わせてもらうか。
そんな思いで俺は小屋の中に腰を下ろした。


腰を下ろすと音もなく小太郎が俺の横に降り立ち頭を垂れた。
とりあえず何をしようか。特に何もすることは無いが暗いのが気になり、小太郎に火を付けてもらえる様頼んだ。
すると小太郎は一瞬にして火を付け俺と小太郎を炎が照らした。
ゆらゆらと揺れる炎に照らされる影を見つめていると小太郎が何か言いたげにこちらを見つめていたので小太郎の方を見る。


見ると小太郎から何かすっと紙を渡された。
紙には何か字が綴られている。書かれている内容を見るとまず一つが「俺は何者なのか」という事。二つ目は「何故助けたのか」三つ目は「俺を主と見る」ということが簡潔に書かれていた。
何故この時代の字が読めたかというのはそこは大地の神だからという事で許してもらおう。
俺は紙から小太郎に視線を移し口を開いた。


「俺をどう見ようがお前の勝手だ、助けたのは気まぐれだと言っただろう。それだけだ。」
「・・・・・・」
「俺が何者かは、お前にとって必要な情報か?」
そう問えば小太郎は首を縦に振った。
「ならばいい、俺はどうやら大地の神らしい」


俺がそう言えば小太郎は少し固まり首を傾げた。まるで大丈夫か?と聞いてくるようなその仕草に
「別に頭がおかしいとかそんなものではないぞ」と答える。
「・・・・・・」
「良く分からないがそう言う事だ。それでいいだろう?」
兜越しに頭を撫でれば小太郎は猫のように俺の手に擦り寄り小さく頷いた。


「兜邪魔じゃないか?」と小太郎に聞くと小太郎は兜を外し俺の手を求めるように再び摺り寄せた。
頭を撫でていた手を小太郎が頭をずらし頬を撫でるようにすると、小太郎は俺の指を甘噛みした。何度も何度も甘噛みし指の腹を舌で舐める。指にはざらりとした舌特有の感触が伝わってきた。
本当に猫のようなその仕草に猫を思わせ俺は胡坐をかいた自分の脚の上に小太郎を引き寄せた。


小太郎は軽く、ふわりといった感じに俺の脚の上に乗った。脚の上で姫抱っこをするようにして抱えれば小太郎は俺にキスを求めてきた。


俺は素直にそれに答え唇を合わせると小太郎は嬉しそうに噛み付くようなキスをしてきた。舌をからめ少し乱暴で濃厚なキスをした小太郎の頭と耳を撫でれば可愛らしく小太郎は反応した。


小太郎の骨ばった指が俺の胸から腰へそして股間へと向かった。
そこのところで俺は俺の股間を触っている小太郎の手を掴み「そこまでだ」と言って小太郎の動きを制した。


小太郎の顔を見れば「どうして?」といった表情をしていたが、どうして止めたかなんていうのは大して理由は無い・・・わけではない。
こちらに来て一日目、体がこちらについていけないのかそれとも神になって一日目なのか分からないが体があまり動かない。


それに、小太郎にキスをされてから山が騒がしい。まるで感情がない俺の代わりに山が感情を表しているようだった。山が騒ぐと何故かどこか落ち着かない気持ちになる。
だから今回は様子見、小太郎から誘ってくれたのはありがたいが、やるとしたら明日だな。と考えていた。


小太郎を見ると落ち込んだようなそんな雰囲気だった。
別に小太郎が悪いわけではないのだがな。それを小太郎は知るわけも無い。かと言ってこれを伝えるのも面倒だ。


俺は横なって小太郎の膝枕をしてもらった。驚く小太郎に一言「大和」と言った。
何を言われたのか分からない表情をした小太郎にまた短く「俺の名前」と言うと
小太郎は嬉しそうに恐る恐ると俺の頭を撫でた。


そして紙と筆を取り出しさらさらと何か書くとそれを俺に見せた。
そこには「風魔小太郎」と小太郎の名前が書かれていた。


「風魔小太郎か、小太郎でいいな」と聞けば小太郎はまた嬉しそうに頷いた。



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