(佐助視点)
数日後俺は部下を引き連れて再び小屋へと脚を運んだ。
今回は部下と俺様二手に分かれて部下達が風魔を引き付け、俺様が小屋へと行くおとり作戦で行くことにした。
部下にその事を伝えただ前だけを進む。
おとりという事を悟られないように部下の方に俺の分身を置き、風魔と戦わせる。その間に俺様は小屋の中を調べると言う事だ。
作戦は上手くいった。風魔は俺様の分身と部下を追いかけていった。
俺様ははやる気持ちを抑え、小屋へと向かった。
小屋はよく狩人が使うもので外から見るになんの変わりの無いものだ。中から人の気配も無かった。
だから俺様は気配を消したまま戸に近づき戸を少し開けた。中を見たとき俺様心臓止まっちゃうかと思った。
中に人が居た。男で、がたいのいい男が。しかもその男、横になって寝ている。
これが風魔が見せたくなったモノだったのだろうか。
俺様は寝ていると思われる男へと近づき首元に苦無を押し付けた。見ると男はなんとも整った顔立ちで思わず俺様も見惚れるほどだった。
体は綺麗に鍛えられたのか無駄の無い体。布越しにでも筋肉がありありと分かった。
しかしその男からは生気のようなものは感じられず、まるで人形の様だと思った。そんな事を考えていると男はすっと目を開き俺様を見た。
その瞳を見た瞬間。俺様は苦無を落としそうになった。人では発せられぬ瞳の強さに俺様は思わず動けなくなった。
男は形のいい唇を開き「はじめましてだな」と言った。
この状況を見て一体何を言っているんだこの男は!俺様思わず馬鹿みたいに口を開けてしまった。
しかし、この男本当に得たいが知れない。
「ねぇあんた。風魔の何?」
とりあえずこいつと風魔の関係を探ることにした。
すると男は暫く考えてから「猫と飼い主か?」と答えた。
疑問形のその答えに俺は馬鹿にしてるのか?と言って苦無を持っている手に力を入れた。
その瞬間俺の体は思いっきり横に吹っ飛んだ。何事かと見ればそこには明らかに怒りを露にした風魔がそこに居て、今まさに俺様を殺そうとしていた。
物凄い殺気に思わず体が動かなくなってしまった。忍びとして失格だ。
反応が遅れた俺様の体はしっかり風魔に捕らえられ心の臓を抉り出そうとする風魔の刀をゆっくりとした動きで見ていた。
だがその時「小太郎」と風魔を制するような声が聞こえた。
ぴたり、と皮膚に軽く到達してい刀。そこから滲む自分の血を感じながら俺様は風魔ではなく、その男を見た。男は横になったまま首だけを俺様達の方に向けていた。
風魔を見れば「どうしてだ」と言った様な表情で男を見ていた。馬乗り状態の格好から風魔は男の下へと行き、優しく柔らかい手つきで男の上半身を起こしていた。
訳のわからない状態に俺はただただ見守るしかなかった。
風魔に起き上がらせてもらった男は俺様を見ると真っ直ぐと瞳を覗き込むように見てきた。まるで全てを見透かされているようなその瞳に俺は再び動けなくなる。
「猿飛佐助だな」
「えっ?」
思わず間抜けな声を出してしまった。
いやしかし、何故俺様の名前を知っている!?
「悪いなこんな格好で」
「いや、別に構わないけど。何考えてんのあんた」
そういった瞬間風魔から苦無が飛んできて慌ててそれを避ける。
ぎろり、と目は見えないが鋭い殺気が俺様を射抜く。どうやら風魔はこいつにお熱らしい。
「小太郎」
「・・・・・・。」
また戒めるように風魔を呼べば風魔は少し落ち込む姿を見せ男の胸元に自分の頭を摺り寄せた。
その光景はほんとに猫と飼い主のようだった。いや犬と飼い主か?
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