▼スガ→(←)タク





「スガタはこの島が嫌いなのか?」

週末にいつものように泊まりに来たタクトの唐突な質問にスガタは目を見開いた。世間話の一つのようなさりげなさで聞いてきたその質問はスガタにとって鬼門とも呼べる物だ。

「どうしたんだ、急に」

「いや、ちょっと気になって……」

スガタの茶化すような問いかけにもタクトは真剣な表情で珍しく眉間に皺を寄せていた。

「嫌いって言ったらどうする」

「……それは」

真剣な金色の瞳に正面から見つめられてタクトは戸惑いながら口ごもった。
そんなタクトを見てスガタは厳しい表情を崩していつもと変わらぬ柔らかな笑顔を見せた。

「冗談だよ」

笑ってそう言ってのけるとタクトは拗ねたように口を尖らせて不満げな声を上げた。

「確かに昔は嫌いだったよ、この島が。でも、タクトみたいな……青春バカに会えたし、この島も悪くないさ」

「青春バカってお前なぁ……」

笑ってそう言うスガタを見てタクトは困り果てたような表情でため息を吐いた。

「でも、何かワコと似たようなこと言うんだな」

「ワコがそんなこと言ったの?」

スガタはタクトの横顔を見つめながら静かに笑顔を引っ込めた。タクトはそんなスガタに気付くことなく話し続ける。

「やっぱり幼なじみなだけあって、ちょっと似てるのかな」

「……そんなこと初めて言われたよ」

タクトはスガタの言葉にだろうなあ、と感慨深げに頷いた。隣に座っているタクトを目の端に捉えてスガタは少し悲しげな表情をしてゆっくりと目を伏せた。

「タクトはワコにそう言われて嬉しかったのか?」

「……嬉しかったよ」

俯きがちに呟かれた言葉にタクトはスガタに目を向けて一瞬大きく目を見開いて静かに答えた。

「じゃあ、僕がタクトのことを好きだって言ったらどうする?」

「――スガタ?」

あまりに唐突な質問にタクトは不思議そうに首を傾げるが、スガタはそんなタクトに更に畳みかけるように近付いて真っ直ぐに見つめる。
そんな真剣なスガタの顔が間近にあることにタクトは動揺していた。

「タクトのことが好きなんだ」

「……僕も好きだよ、だからそんな顔しないで」

小さな子供を慰めるようなタクトの優しい態度にスガタは顔を顰めた。

「どんな顔だよ」

「泣きそうな顔、してる」

「泣くわけないだろ?」

スガタのそんな言葉にも申し訳なさげな表情のタクトにスガタはもやもやとした感情が溢れてくる。

「うん、ごめん」

「謝るな、バカ」

スガタが頭を軽く叩くとタクトは困ったように苦笑いした。いつもはタクトの笑顔に自然とスガタ自身も笑顔が溢れてくるのにそのタクトの笑顔はスガタに笑顔を齎すことはなかった。

「やっぱり嫌いだ」

「なんだ、それ!」

スガタの吐き出すような言葉にタクトはただ笑っていた。

(ごめん、スガタ)




卑怯な僕の回答







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色々一人で悩んだ結果曖昧に誤魔化そうとするタクトとそんな状態をどうにかしたいスガタさんの戦いです、ある意味





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