⇒「結婚するならスガタとかな」
※ギャグ、スガタが崩壊



「あはは、なんてねっ!」

思わず言ったもののどこか気まずくなってしまい、タクトはすぐに誤魔化すように笑ってそう言った。
それを何も言わず見つめていたスガタはスッとタクトとの距離を縮め、タクトの手を掴んだ。


「僕はさっきの言葉が本気な方が嬉しいんだけど」

「え、……ス、スガタ?」


あまりに真剣な表情で近付いてくるスガタに少し怖くなってタクトは思わず顔が引きつってしまう。

「タクトと結婚して幸せな家庭を築く、すごくいいと僕は思うよ」

「え、それはどうだろう、ね……」


夢見るようなキラキラと輝くスガタの綺麗な瞳と表情にこんなスガタの顔初めて見た、と遠い目をしつつぼんやりとタクトは思った。
確かにタクトはスガタのことが好きだが、それを表に出してはならないと思っていた。スガタにはワコという婚約者がいるし、その間に入ってどうこうしようという考えをタクトは持ち合わせていなかった。


「でも、スガタにはワコがいるじゃないか」

「……タクト」


タクトの言葉にさっきまでの表情を引っ込めてスガタは真面目な顔で見つめてくる。
やっといつものスガタの表情になったことに安堵してタクトはスガタのことを静かに見上げた。


「――だから、」

「それは、僕のことが好きということでいいんだな」

「……は?」


唐突過ぎるスガタの言葉にタクトは思わず間抜けな表情になってしまう。タクトは一体彼は何を言っているのだろうか、さっきの会話の流れで何故そんな言葉が出てくるのか、そんな思いで一杯だった。


「タクトは僕にワコという婚約者がいるから諦めようと思ってたんだろ」

「う、まぁそうか、な……」

そうはっきりと自信満々な表情で言われるとどことなく素直に頷く気になれず、曖昧に視線を逸らしつつそう答えると、スガタはタクトの華奢な肩を掴み真剣な顔で見つめてくる。
さっきから変なことばかり言ってはいるが、真面目な顔をするとやはり美形なのでタクトはやけにどぎまぎしてしまう、美形って得してるよなあとも思ったが。

「だから、結婚しよう!」

「何が、だからなんでしょうか……」

真面目な表情ではあるが、やはり言っていることは少しおかしかった。いつもと違うスガタが段々本気で心配になってきたが、それ以上にタクトはそろそろ帰りたいと思い始めていた。

そんな時、大きな音をたてて教室の扉が開いた。
自分のことは棚に上げてタクトはこんな時間に誰だろうかと振り向くとそこにはワコとサリナが立っていた。

「え、え……部長とワコ?」

「話はしっかり聞かせてもらった!」

サリナは堂々と仁王立ちで盗み聞きを白状して、ワコも嬉しそうに微笑みながら大きく頷いている。
全く状況が読めないタクトは呆然と立ち尽くしていたが、ワコが聞いていたという事実にすーっと血が引いていくのを感じた。
あんな話を聞いてワコはどう思うだろうか、もう絶交とか言われたらどうしようかという思いが頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。


「そ、そのワコこれは……」

「結婚式は絶対呼んでね!」

「何なら仲人をやってやろうか?」

ワコとサリナはどちらとも楽しそうにそう言い放った。


「ど、どういうことだ……」

「簡単なことだ」


平然としていたスガタに訊ねると何でもないことのように話し始めた。


「僕が前に言ったこと忘れたのか」

何のことか全く検討がつかず、首を傾げているタクトを見てスガタは小さく溜め息を吐きながらも、まあその仕草可愛いから好きなんだけどと密かに思った。


「恋愛は自由だと思うって言っただろ」

「言ってたような気もするような……」

しないような、と曖昧なタクトの記憶だが、確かに何かそのようなことを言っていたようなと思い出した。


「え、だからってそれでいいのか?」

「祝福されてるし、いいんじゃないか」


思いがけないスガタの適当さに呆然とした。確かにワコとサリナは祝福ムードだが、それでいいのか。

「じゃあ、子供は何人位欲しい?」

「いや、そんな人生設計は流石に早いと……」


これはどうなんだ、幸せ?ハッピーエンドって奴なのかとタクトはここにはいない祖父に心の中で問いかけた。



結婚まで



―――――――――
あとがき


色々とすみませんでした!

ゆか様リクエストありがとうございました。こんなことになってしまいました…
こちらは多分ギャグルートです、深く考えると泥沼。

では、ありがとうございました。





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