★5000hit企画
▽暁さまリクエスト▽ジョータク♀

※女体化注意



「よお、新入生」
「うわっ!」

ベニオが新入生に寮についての説明をしている中ジョージは一人妙に目立っている赤い髪の少女に声をかけた。突然後ろから声を掛けられた少女の方は幽霊でも見たかのように驚いている。

「――お前、名前は?」
「え、ツナシ・タクトですけど」

それが何かと言おうとしたタクトの言葉を遮るようにジョージの大きな腕で肩を抱かれる。急な接近に驚いて真っ赤になっているタクトを見ていたジョージは満足げににやりと笑ってまた話し始める。

「俺はホンダ・ジョージだ、ボクシング部なんだが……」
「ボクシング!!良いですよね!かっこいいなあ……」

タクトは困ったように赤くなって俯いていた顔をボクシングという一言で一気に上げて興味津々と言わんばかりの表情とキラキラとした瞳でジョージを見つめている。
そんな瞳で真っ直ぐ見つめられたジョージは少し残念な気持ちだった。少しこの変わった雰囲気の少女に興味があったのだが、そこらのミーハーな女共と大差なかったかと失望していた。
だが、顔は好みだし多少話くらいは聞いてやるかという気持ちだった。

「ボクシングやってみたかったんですよ!」
「――ってお前がやりたいのか?」
「え、そうですけど……」

タクトの言葉に心底驚いているジョージを置いて彼女は実に楽しそうに話している。

しかし、ジョージは驚きながらも面白いなと感じていた。さっきまで照れて真っ赤になっていた少女は楽しそうに笑っている。最初の状態と全く変わっていないがもうすっかり忘れているようだ。

「――ボクシングやれば喧嘩強くなりますかね?」
「ボクシングは喧嘩じゃねえよ」

聞き捨てならない言葉にすぐ近くにある赤い頭を軽く叩いてやると困ったように笑った。全くこれだから素人はと言いながらもジョージは楽しそうにタクトの話を聞いていた。


――――

そんな二人を見ていたのは新入生に説明をしていたベニオだった。
ベニオは説明している途中でテツヤに茶々を入れられながらも無事に説明を終わらせていた。しかし、説明が終わって新入生同士が少し遠慮がちながらも自己紹介しあったり楽しそうに会話している中異質な二人組がいた。ベニオはその二人組に静かに視線を送った。

「何、あれ……」
「あいつ誰と話してんだ?」

ベニオの呆れかえった独り言に近くにいたテツヤが聞いて彼女の視線の先に目をやるとよく知る男と最初からとても目立っていた赤い髪の少女がとても楽しそうに話している姿が見えた。

「彼女に声かけたそうな男子がいるの見えてないわ、あれは」
「完全に二人の世界ってやつか」
「新入生の交流の場なんだから空気読みなさいよね」

ベニオはどちらかと言うと新入生の男子達よりの意見らしくジョージに対して憤慨していた。テツヤはベニオも気持ちが分かるが、何よりジョージが自分達以外の人間と一緒にいて本当に楽しそうに話しているのがとても久しぶりに感じて少し安心もしていた。

「何でそんなに怒ってんだよ」

逆にそこまで言うベニオに対しての疑問の方がテツヤには大きかった。そっとベニオの顔色を密かに窺いながらそう訊ねるとベニオは強い視線をこちらに向けて話し出した。

「怒ってるんじゃなくて心配してるの!!」
「……心配って」

お前はあいつの保護者か何かかと呆れながらもやっぱりこいつも何だかんだ心配なのかと苦笑いした。そして、話題の中心である二人の楽しげな様子を見てテツヤは自分なりの意見を伝えることにする。

「あいつは人を見る目はあるから、大丈夫だろ」
「だって筋肉バカじゃん」
「本能で生きてるって言ってやれよ」

否定的に話しはするものの彼女なりに納得したのか少し安心したような呆れたような複雑な顔で微笑んだ。

「まあ、あのニヤニヤした顔見てるとちょっとムカつくから存分に揶揄ってやるけど」
「……はあ」

程ほどにしておけよと言い含めるが果たして効果があるかどうか。テツヤは密かに心の中でジョージに謝った。



―――――――――
あとがき

暁さまリクエストありがとうございました!
何だかんだでフィラメントが勢揃いな感じになりましたが、これジョータク♀になってますでしょうか^^;;

では、ありがとうございました!




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -