「スガタのこと、好きなんだ」

放課後の教室にタクトとスガタはいた。部活が終わりいつものように一緒に帰ろうとタクトを誘ったのだが、教室に寄りたいと言われスガタはついていくことにした。
そこで言われたのがこの一言だった。
──これは所謂愛の告白というやつだろう
婚約者がいるスガタだったが、一度も告白されたことがない訳ではなかった。
だが、相手はタクトだ。

「タクト、本気なのか?」
「当たり前だろ」
真っ直ぐ過ぎるタクトの赤い瞳に思わずスガタは目を逸らした。
「僕は……」
スガタはタクトのことが好きだった、友情ではなく確かに恋していた。
だが、そこで教室に貼られたカレンダーの日付が目に入り、スガタは一瞬本当の気持ちを答えようとしていた自分に何でもっと早く気付かなかったのかとため息を吐いた。

そうだ、今日は

「エイプリルフール、か」
少し残念だと思ってしまったことを隠すように苦笑いして、スガタはタクトの頭をコツンと叩いて質が悪い嘘吐くなよと言い含めた。それは注意と自分以外にもその嘘をついたのかという不安からでもあった。
「でも、意外と演技うまいんだな」
騙されるところだったよと笑うと、黙り込んでいたタクトもあと少しだったのになと残念そうに笑った。






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「馬鹿だなぁ」

一人きりの寝室でタクトは小さな声で呟いた。
シンドウ邸に馴染んでしまってもしかしたら寮の自室よりリラックス出来そうだと思う程だ。
そして、今日の放課後の教室での一連のやりとりを思い出し、タクトは本当に馬鹿だとため息を吐いた。

「馬鹿なことしちゃったな」
あの告白はある種賭けのようなものだった──いや、実際はただ臆病風に吹かれただけかもしれない。

人間誰しも恋を前にすると臆病になり愚かな人間に成り下がってしまう
笑えない程にそれが今の自分に当てはまっていて、タクトは情けなさに枕に顔を押し付けて目を閉じた。

「あと少しだったのかな」

そんなありえないことを考えてしまう自分に苦笑いした








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一応エイプリルフールネタでした





2011/04/01 23:06









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