・よく分からない話になったのでこっちに収納
・設定がアバウトなパラレル


ifの話


「もし、タクトがこの島に来てなかったらって最近よく考えるんだ」

二人で他愛ない話をしていた時のことだった。スガタは思い出したようにそんなことを呟いた。
急にどうしたのかと訊くと

「くだらない話だけど、聞いてくれるか?」

疑問に答えることもなく、スガタは一方的に話しかけてくる。こんな話し方をするスガタは初めて見た、基本的に彼は自分の話を積極的にするタイプではなくどちらかと言えば話を聞く側の立場を保っている。
急に饒舌になったスガタに若干疑問を抱きつつも話を聞くことにした。

「聞いてくれるのか、ありがとう……そんな不思議そうな顔しないでくれ、本当に大した話じゃない。くだらない話なんだ」

スガタは淀みなく喋る。本当に珍しい、今日は何か良いことでもあったのだろうか──この話が終わったら聞いてみようか。

「もし、タクトがこの島に来ていなかったら僕たちは一体どう生きていたのかなって思うんだ」

スガタは困ったように笑いながらそう言った。
でも、スガタは僕を買い被り過ぎだ。きっと、二人は自分たちが思っているよりずっと強い。
僕がいなくたって本当は二人は幸せになれる。

「タクトがいなかったら、僕は」

いつもどこか儚げな雰囲気のスガタが悲しそうな表情をすると、今にも消えてしまいそうに見えた。そんなスガタの表情を見たくなくて抱きついた、子供みたいなことをしているなぁと思いはしたが、これ位しか見ないで済む方法が思い付かなかったのだ。

「タクトは今まで会った誰よりも強くて温かくて僕のことを、僕たちのことをわかってくれて──」

スガタの顔は見えないけれど、やっぱりさっきみたいな表情で話しているのだろうか。

「僕たちを初めて理解して入ってきてくれたタクトのことが……僕もワコも好きなんだ、だから」

スガタはやっぱり買い被り過ぎだ。僕はそんなに強くないし、君たちのことを理解なんて出来てないんだ。僕は二人の間に入ってきた異物でしかないって気付いてよ。
君たちから見た僕がどんな風に見えているのか偶に考えるんだ、きっとすごく自由で馬鹿みたいに笑ってるんだろう。
そして、それは二人が本当にしたかったことだ──何でもないことで馬鹿みたいに笑って怒って、一人の人間として二人は自由に生きることだけを心の奥底でずっと望んでいた。

そして、それを叶える為に僕はここにいる

「消えないでくれ、お願いだから」

縋るようなスガタの必死な声。こんな声も多分初めて聞いた。

「分からないふりをしてた、でもこのままだといつかタクトは僕たちを置いて消えてしまう」

消えないよとは言えなかった。僕自身にその決定権は存在していなかったから。ただ、二人の願いを叶える為に僕はここにいる。

「好きだ、タクト……愛してる、だから」

そう譫言のように言い続けるスガタの頭を抱え込んだ。

「ずっと、ここにいてくれ……」

お願いだから、という言葉にそっと目を閉じた。
もしかしたら、目を覚ましたら消えてしまっているかもしれない。学校から消えているかもしれない。みんな、僕のことを忘れてしまうかもしれない、僕の存在自体なくなってしまうかもしれない。

それでも、君は、君たちは僕を思い出してくれるのだろうか──














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ひっそりめも

思い付いて書いてみたら思いの外酷かったのを発掘。勿体ない精神で保管。
多分、タクトが一話のあの流れ星だったらみたいな設定だった、はず
ちょっと妙な書き方してるなと読み直して思いました。いつか書き直したい気もする



2011/03/21 23:54









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