▼おとな銀行とタクト
▽カナコ×タクトっぽくもあるかも




「タクトくんの背中をずっと見て思っていたのだけど」

(──またか!)

教室の教師と生徒の心が一致した時だった。
こうしてカナコがタクトに授業中にちょっかいをかけるのは最早恒例となってはいるが、やはり皆微妙に緊張したような雰囲気が漂っている。カナコの発言の殆どはセクハラ的な内容であることが多い為一番緊張しているのはタクト本人であることは間違いないが。だが、そんなタクトは知る由もない。一部の男子には羨ましくも思われているなどということは。

「やっぱりタクトくんは可愛いわね」

「……可愛くないですよ」

うんざりといった様子のタクトは苦笑いしてそう返すが、カナコは納得していないらしく不満げな表情だ。
そういう表情をしていると思った以上に幼く、年相応の少女に見えた。


「私から見ればシモーヌと同じ位可愛いのだけど?」

「きゅ、急に私の名前を出さないでください」

会話を聞いていて突然出てきた自身の名前にシモーヌは真っ赤になって抗議した。その様子がやはり可愛らしく感じたらしいカナコはにこにこと楽しげに笑っていた。「人をからかったりするの好きだよね、本当」

「あら、二人が可愛いっていうのは冗談じゃないのよ?」

シモーヌは兎も角そのカナコの脳内での可愛い括りに入れられているという事実にタクトは静かに肩を落とした。

「奥様、楽しそうですね」

「事実を言ったまでのことよ」

そう言って微笑んだカナコの表情は今まで見たどんな笑顔よりも無邪気で、楽しそうに見えてタカシはそっと目を伏せた。


「勿論、タカシも可愛いわよ?」
「……ありがとうございます」



2011/03/21 23:53









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