▼ジョー←タク 積極的なタクト 「ホンダ先輩!」 「げっ」 廊下ですれ違い様にキラキラと目を輝かせながら走ってくる銀河美少年ことツナシ・タクトに対して、ジョージがこんな声を出してしまうのも仕方がないことだ。 まるで、犬のように懐いて飛びかかってくる位のことはもう何度されたか分からない。 一緒に歩いていたらしいスガタとワコが呆れたように見ている。 「いや、見てないで止めろよっ!」 「僕は人の恋路を邪魔する趣味はないので」 飄々とした態度で笑ってそう言うスガタに拳を握りしめながらも皆水の巫女だったらどうかと目を移した。 すると、とても悲しげな目で俺とこの犬のようになっているタクトを見ていた。 (よし、これで何とか──) 「タクトくん、何でっ何で……」 今にも泣きそうな程の少女の声にフェミニストの気があるタクトは振り向いた。 「何で、スガタくんじゃないの!」 「そっちかよっ!」 思わず零れ落ちた俺の渾身のツッコミもスルーして奴らは話し続けていた。 「だって、私タクトくんとスガタくんならいいかもって思って応援してたのに……何でっ」 「ワコ、世の中には色んな物があるんだ。もっと視野を広げてごらん」 「何、良い話っぽくしようとしてんだよお前は」 タクトが宗教の勧誘か何かのように笑いながらワコを諭している様子にジョージは頭をかいた。 「要するに、スガタクに拘らなくてもいいじゃないかってこと、だろ?」 「そう、そうだよね!タクトくん、スガタくんありがとう、私ジョータクも好きになってみる!」 「ははは」 何だこの茶番は 「まぁ、僕はホンダ先輩のこと離さないので」 「は?」 「覚悟してて下さいね」 この少年の可愛らしい笑顔に薄ら寒いものを感じつつもこれは逃げられそうにないかもしれないと本能的に感じ取っていた。 「ホンダ先輩が、僕のこと好きじゃなくても、ホンダ先輩のこと──」 真っ赤になって上目遣いで見つめてくるタクトを見て不覚にも可愛いと思ってしまった。 犬は犬でも子犬のようで先程の雰囲気とは全く違い、どぎまぎしてしまう。 「そ、そんなに好きなら名字じゃなくて……名前で呼べよ」 「え?」 「だからっ!ジョージでいいって言ってんだよ!そん位分かれよ、アホ」 不思議そうに首を傾げて訊いてくるタクトにとんでもなく恥ずかしいことを言ってしまった気がして声を張り上げてすぐ顔を逸らした。 「ジョージ、先輩?」 「んだよ」 「ジョージ先輩が……」 腕を掴んでいたタクトが急にぷるぷると震えだしたのを感じた。 「……デレた!デレたぁ!」 「は?」 「ジョータク!ジョータク!」 妙に興奮しているタクトとワコに呆然としているジョージとそんな妙な集団をやや離れた場所で見つめるスガタ。 「もっと、デレていいんですよ!ほらほら」 「もう、本当お前黙ってろよ」 黙ってた方が可愛いのにとは口が裂けても言えないと思ったジョージだった。 喋ると三枚目 ――――――――― ジョージ先輩はいいツッコミだと思う……という妄想です 2011/03/21 23:49 |