財前と一氏・無理やり



 U-17に選ばれんかったオレ。せやのに、ホンマにオレんこと嫌いになったんか聞かへんままに小春は行ってしもた。
 ホンマの恋なんか、偽りのソレなんか知らん。少なくともオレはマジや。小春を抱きたいと思とった。せやけど、オレらはプラトニックやった。
 そうや、オレの意識の中ではオレはあくまで、タチやった。せやのに、この状況は何やっちゅーねん。
「ユウジ先輩、気持ちエエッスか?」
「はっ…ぁ、ヤメロや、ソレッ」
 ベッドの上に仰向け、膝立てて脚開いて、その間に財前がおって、その指はオレのケツの中。弄くられて喘ぐ。
「なんで?小春先輩とせえへんかった?」
「してっへん!なんっ…で、こ、ない、なっこと」
「先輩ら付き会うとったんとちゃうん?こんなことも知らんと、どないするつもりやったん?」
 人の中を良いように弄りながら、まさか子どもの付き合いやないでしょと、財前は言うてくる。そうや、知らんかったわ。子どもの付き合いやわ。こちとらIQ200の小春クンが味方やねんぞ、後は愛と勇気がありゃナンボでも出来ると思とったがな。夢見たかってん。てゆか、過去形にしなや。オレはまだ、小春が好きやっちゅーねん。
「なぁ…で、お前はっ知っとんねん」
「愛と勇気の所業スわ。そんだけありゃ、調べんのは簡単」
 人のセリフパクんな、なんてオレが言えたことやないけど。そないな煩悩にまみれた愛やら勇気はいらん。健全に恋せえや。告った即日に犯すなん、笑われへん。オレ、お前に何も答えてへんやろ。オレは小春が好きやって、言うたやろ。なんでや、こんなん、最悪や。小春許してくれ、これは浮気やないで。ゴーカンて言うんやで。分からんかったら辞書引いてくれや。俺はちっとも財前なん、好きやない。
 知らん間に指は増やされて、解かれてく。アカンなぁ、流されとんのやろなぁ。恥ずかしいて顔隠した腕は外せんし、片手で財前の肩押したかて、全然動きゃせん。
「もう、エエよな。俺、限界スわ」
「ひっぎぁぁァァ」
 熱いモンが押し当てられて、そのまんま突っ込まれた。遠慮の欠片もなしの乱暴に、オレの腹の底からの絶叫が溢れる。
 脂汗が、出る。痙攣しそうや。半端ナイ。痛うて、死にそうや。財前は根元まで入れると、オレの中に馴染ませようとじっとしとる。
「クソったれっ…ぐっ、いてぇ」
「先輩が遠い目ぇしとるからアカンのや。早よ突っ込まな、逃げられると思た」
 人のせいにしよる、クソガキや。足首掴まれて、肩に担がれる。シャレにならんわ、このカッコ。テメェのが1センチ低いくせして、マジにオレんこと犯そうとしとるんやな。
「先輩、動くで」
 言うや否や、財前は腰を使てくる。オレは為すが儘で、ガクガク揺すぶられる。あー、ホンマ信じられん。痛いっちゅーねん。ゴーカンは犯罪やっちゅーねん。男相手は傷害罪だ?んなもな、知らん。オレは死にそうやと、屈辱やと思うんやから、それが現実やろ。
「ユウジ先輩、好きスわっ…名前、オレん名前呼んでや」
 財前がなんや言うとる。聞こえへん。何も考えたない。
 俺はこんな時にでも、小春に抱かれたらどないやろ、とか、どうせやったら処女捨てるんにも小春がよかったとか、思とる。
 永遠にさんかっけーの関係なん、考えたかて不毛やろ。

 なぁ財前、そない苦い顔しなや。オレはちっともお前なん、好きやない。



さんかっけー

20090313 町田


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