片思いの常套句




昼休みで少しざわざわと騒がしい教室内、一緒にお弁当を食べている友人の目を盗んでチラリと窓際の後ろの席を見る。そこには男子が3人、その中にいる私の好きな人。

私と同い年のはずなのに色気を含んだタレ目、その目を縁どる長いまつ毛、ポってりとした唇に、彼が決して譲らないビシッとキメられたリーゼント。そのどれもがまるで芸術品のように美しく、思わずため息が出てしまいそうになる。そんなにも美しいのに、友達と話す時には大輪のひまわりが咲いたようにパッと笑顔を見せて話す。笑顔以外もそうだ、友人と話してる時の彼は意外とコロコロと表情を変える。

そんな彼を見ながら、あぁ、好きだなぁ。なんて、私が思うこともおこがましい気がするけれど、好きという気持ちは抑えられないので許してください。緊張して名前を思うことすら出来ない奥手な私なので、貴方を日々の糧にするぐらい許してくれませんか?
まぁ言わなければバレないことだけれど。そんなことを考えてボケっとしていた私に「ねぇ、聞いてる? 」と話しかけてきた友人にごめんと謝りながら、私は恋する乙女から女子へと戻る。



フッと向けられていた視線が無くなると耳がボワッと熱くなる、やっべー、苗字サン今おれのこと見てたのか?
いや、んなわけないよなー、ただのクラスメイトって思われてっだろうし。
……なんか自分で考えて悲しくなって来ちまったなァ〜、おれにしては珍しくハァとため息をつき視線を感じた方へと目が向かう。クラスの誰よりも大人っぽく人を受け入れる雰囲気がある彼女、好奇心でキラキラしてる目、いつも緩く弧を描いてる唇、サラサラしてる髪の毛にはワックスなんてつけたことなんて無ぇんだろうなァ。
話してみてーなァ、でもいきなり話し掛けるなんて純愛タイプの仗助くんにゃあちと厳しいぜ〜〜〜ッ!!



うんうんと頭を抱えて悩み、すっかり箸が止まってしまっている親友の姿を見て「今度、一緒に居る時に話しかけてみようかな」とお人好しな広瀬康一は考えるのだった。


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