亡き人を想う




初めてその人を見たのは子供の時だった、友達のジョセフの家に遊びに行った。その家で肖像画を見たのが始まり。太陽のような優しい笑顔にたくましい体、まるでぴしゃーんと落雷が落ちたようだった。幼い私は肖像画に初めての一目惚れを、恋をした。

それから私はジョセフの家に入り浸るようになった、しかし私が恋をした王子様はジョセフのお爺様でもう亡くなってしまっているらしい。その話を聞いた時、二度と会うことは出来無いのが悲しくてポロポロと涙を流してしまった。
ジョセフは泣き出しは私に驚き、私の気を紛らわそうとお爺様のお話を色々してくれた。その話を聞いているうちに涙は止まり、話に聞き入っていた。もっと聞きたいと私がせがむと、ジョセフはお祖母様の所へ連れて行ってくれた。

そこでお祖母様は私とジョセフに色々なお話をしてくれた。お祖母様のお爺様を思う気持ちが痛いほど伝わってきた。お祖母様のお話を聞いている途中に来客があった、お爺様のご友人でスピードワゴンさんという方らしい。
王子様のお話がもっと聞けるかもと、すぐ近くに飛んでいき。「あの肖像画の方とお友達なの?」と聞くと、とても誇らしそうな笑顔で「あぁそうだ」と答えお話をしてくれた。
お祖母様に聞かせてもらったお話とはうって変わり、壮絶な戦いのお話がそこにはあった。もしかすると幼いジョセフと私のために多少の配慮はあったのかもしれないが、ジョセフのお爺様の尊く、悲しい程の優しい自己犠牲は幼い心を締め付けた。

私はお話を聞いたあと、祈らずにはいられなかった。どうか貴方が天国で幸せにいられていますように、と。


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