言葉だけの慰め
私は知っているわ、あなたが世界中にガールフレンドを作っていること。私はそこらの馬鹿な女とは違うのよ。だからお願い、私だけを見てちょうだい。久しぶりに会えたことについ涙を浮かべてお決まりとなってしまったセリフを言う。
「悪いがそりゃ出来ねぇぜ、俺は女という生き物を尊敬していて全員を愛してるんだからよ」
彼もお決まりとなった言葉を言う、そしてまるで誤魔化すように口付けをする。あァ、虚しい、悲しいわ。貴方はここに居るのにまるで人形のよう、貴方の心はいったい何処にあるの? どうすれば貴方の心を奪えるの? 私は貴方に心を奪われたままなのに。
そんな心情を一切合切隠して彼に問う。
「今日は一体何の御用?」
だって貴方が来るのは私にやって欲しいことがある時だけなのだから。私に利用価値があるから来てくれるんでしょう? 取り敢えず今は聞き分けのいい馬鹿な女になってあげる。
あぁ帰っちゃったわ、彼の背中が遠く離れていく。いつも用事が終わったらすぐに帰って、捨て台詞のように愛と慰めの言葉を吐いていく。全く、そろそろ我慢の限界だわ!
彼はNo.2の方が好きみたいだけど、嘘ね。胸に手を当ててちゃんと考えて見なさい。貴方に心を奪われて貴方がNo.1だと、貴方しか見えないと思っている女の子が世界中に居るのよ? 世界で一番女に優しい? ハッ、バカ言わないでよ、いつも女を泣かせているくせに。世界で一番酷い男の間違いでしょう? いつも口だけ、言葉だけ。「お前は最高の女だ」なんて、それ何人に言ったのかしら? 全く酷い人、何人も女を誑かして。まるで悪魔ね。
そうよ、貴方なんて悪魔がお似合いだわ。だってまだ恋を知らぬ清廉な乙女も、聡明な修道女も、どんな美女だって醜女だって、貴方にかかれば貴方の愛と慰めを求めるただの馬鹿な女になってしまうの。例え言葉だけだろうとも貴方の愛と慰めが欲しいの。勿論私だってそう。
お願い、口先だけでもいいから愛してと言って。