『ねぇ……咲喜様』
「なんだ?」
夕暮れ時になり、空が茜色に染まる。
『三日後、また会いに来てもいい?』
「お前に場所がわかるのか?」
苦笑している咲喜に、銀水は満面の笑みを向けた。
『ここでまた会ってほしいの。
私、貴女の話を聞きたい。
私の事も知ってほしい。
貴女みたいな人、初めてだから……もっと仲良くなりたいの。
その時に………私を友達として認めてほしい』
「!!」
『もしも認めてくれるなら。
貴女の事、咲喜って呼ばせて?』
自分でも、なぜこのように願っているのかわからなかった。
長い間、私は友を持とうとはしなかったけれど。
咲喜様……貴女なら、私の初めてのお友達になってくれるだろうか。
「……一つ質問がある」
『なんでも答えるわッ!』
「お前には、未来がわかるのだろう?」
『そうよ?』
「いずれ訪れる自分の死が、わかるのか?」
いつどこで、どのように死ぬのか。
『当たり前じゃない』
四百年後、私は。
あの檻のような、草木に囲まれた場所で。
いつか生まれるであろう、まだ顔も名も分からぬ娘を残し。
『だけど、それでも生きたい。
友達って…お互いの心の支えになるかけがえのない仲間なのでしょう?』
たとえどんな未来が待っていようと。
死が訪れようと。
足掻けばいい。
それは一人では成しえない、奇跡。
三日後、銀水は咲喜に認められたのか。
どんな結末だったのかは、あなた次第。
prev / next
→ TOPへ