森の奥から現れたのは水龍とぬらりひょん。



『なッ………』



今まで余裕だった銀水が見る見るうちに不機嫌な顔になる。配下たちも同様だ。


一方で、咲喜と仙狸はぬらりひょんが見知らぬ男と共に自分の目の前にいることに驚いていた。





「(嘘だけど)探したよ銀水。全く、女のくせに蹴りを喰らわすとはどういう了見だい?」

「ずっと捜しとったんじゃぞ? 途中で面倒くさい男に捕まるわ……」






『今貴方を一気に信じられなくなったわ』

「お前いい加減にしろ。しつこい」






「水龍様!! 妻?を放っておいて何様ですか!!」


「お前もか。それより…久しぶりじゃなぁ銀水」


半ば怒りマークを額に浮かべているぬらりひょんに、銀水はキョトンとする。

水龍は笑いを堪えるように口元を手で覆い、顔を逸らしていた。






『貴方誰? 咲喜様は渡さないわ!!』


「おま、ワシを忘れたのか!? それと咲喜に抱きつくな、嫌がって…」


「お前に付きまとわれるよりはマシだ」


「!? ま、まぁそんなことはどうでもいい……八十年前、ワシに何度も蹴りを喰らわせただろ!」


『は?』





銀水、回想。


<おい、ワシと勝負しろ>

<あら貴女何様? 只の人魚ならともかく、姫である私に勝てるとでも?>

<そんなのやって見なきゃ分からねぇだろグハァ!?>

<ほら弱い。まだ雛鳥のくせに私と手合わせをしようなんざ、姫も舐められたものね。糞餓鬼は山にでも籠って修行しとけばいいのよ>

<なんじゃと…ガハッ!!………てめぇ…!>

<ほんと、弱すぎて武器なんか持つ気分になれないわ。威勢だけは生意気ね…糞餓鬼なんか死んでおしまい>

<チッ……ワシは諦めんぞ!!>








『あぁ!! あの何も無い所で転んでいたアホ面ね!!!』

「回想に関係ないことを思い出すな!!」



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