担任のばか。大人しそうだからって雑用押し付けないでよ。こんな性格じゃ仕方ないって分かってるけど、やっぱり納得いかない。ぶつぶつと心の中で文句を言いながら担任に押し付けられたクラス全員分のノートを運んでいた。
「重そうだな、半分持ってやるよ!」 「あ…た、田島くん…あ、りがとう…」
どこからともなく現れた田島くん。田島くんは優しい。運動神経もいいし、頭はちょっとアレだけど、とにかくカッコイイ。だから時々、勘違いしてしまう。
「お前、何か三橋に似てるよな!」 「え…?そ、そうかな…」 「おう!だから好きだ!」 「え…ぇえ!?」
びっくりして顔を見ると、田島くんは人懐っこい笑顔で笑っていた。多分、他意はない。だけど、好きなんて言われたことがなくて。ぶわわわわ、と頬が赤くなるのが自分でも分かった。でも、好きと言われて気を悪くする人はいない。とりあえず、嬉しさを全部込めて笑顔でお礼を言った。
「ありがとう、田島くん!」 「……っ!」 「ん?どしたの?」 「やっぱ似てねー!」 「え?」 「お前の方がかわいい!ゲンミツに!」 「げ、げげ厳密に??」 「おう!」
そしてまた人懐っこい笑顔で教室へと入っていった。ほら、また勘違いするじゃん。
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