赤葦にクエスチョン

「"好き"ってなんだろ?人はいつ恋に落ちるのかな」
「質問が唐突な上になかなか重い」
「だってプリント作ってるのも飽きたし。ねえ、赤葦はどう思う?」
「単純なこと、だろうと思う」
「んー、どうゆうこと?」「例えば、すごく美味しい料理を食べたときに『あの人と食べたい』って思うこと。たくさんの人がいるなかで、その人の声だけは拾ってしまえること。手を繋ぎたい、肩にもたれかかりたい、抱きしめて欲しい、そう願うこと。
………多くの人は、こういった瞬間に恋を自覚するんだよ、たぶん。そして、誰よりも近くでその人を愛するために、自分の思いを伝えるんじゃないかな」
「…………」
「……なんで、こっち見てんの」
「いや、なんか意外で。赤葦がそんな色恋について考えてるとは思わなかった。正直、赤葦は宮沢賢治みたいに『木偶の坊になりたい』って言い出すタイプの人間だと思ってた」
「俺は精神も肉体もいたって健康だけど。人間の三大欲求だって備わってますし」
「ふーーん。誰よりも近くでその人を愛するために、ねえ」
「復唱すんのやめて。恥ずかしい」
「へへ、なんか気に入っちゃって。にしても、普通こんな考えられるかなぁ?赤葦クンってば何者?」
「まあね、俺も人並みに恋してるから」
「へーーぇ。誰だい?」
「黙秘権を行使します」
「うっわ、ケチ!」



2015.01.25


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