ロマンチストの電波どくせん(下)


地面に突っ伏したまま目を閉じると、ざくりざくりと土を掘る音が聞こえた。
「ここにお墓を立てましょう」
まるで私が起きているのを知っているかのように、そう言ったっきり黙々と土を掘り続けている私の後輩くんの機嫌はなんだかよさそうだった。見えてないけど。
ぱちりと目を開けると目の前1面が深い青で満たされた。……綺麗な色だなあ。まるで私の後輩くんこと橋剣くんのおめめみたいだ。……ん?
「目えええっ!!!???」
ずざささ、と後ろ手に後ずさる。そんな私の様子なんか気もせずに橋剣くんは続けた。
「タイムカプセルみたいなもんです。お墓っていう目印があれば、きっとすぐに掘り起こせるでしょう?」
手を合わせてにこにこと笑って、橋剣くんはそう言った。…いやいや、それは意味を知らなければ墓荒らしみたいなものだよね?
「今世のタイムカプセルが来世の僕達に掘り起こされて、そのタイムカプセルの中身は前世の僕達。……なんだか、ロマンチックじゃあないですか」
電波扱いされそうなことを口にしながらも順調に穴を掘り進めていく。もう少しでいい具合になりそうだ。
「そういうの、素敵ですよね。憧れちゃいます。でも、先輩は不老不死だから、このまま土に入ったとして、一体全体どうなるんでしょうかねえ。ゾンビのようにでもなるんでしょうか」
いや、私に聞かれても。



ぼうっと眺めていると、段々と眠気が襲ってきた。自慢ではないが、私が生まれて17年。未だ、1度も睡魔との闘いに勝ったことはない。
「いやいや、それは自慢げに言うことではありませんよ」
まあまあ、とにかく色々と考えることがあるなら寝ろって話ですよ。そんなこんなで私は本日も睡魔にあっさりとやられてしまったのでした。すやすや。





「ええ、おやすみなさい先輩。僕がきっちりと家に送り届けておきますからね。お墓はまた今度にでも」

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