日常
ふと後ろを振り向くと、知り合いがニッコリと笑っている。
簡単に状況説明をしよう。今日はたまたま出掛けたい気分になって、電車で京都までプチ旅行。蕎麦を食べて、景色を見て、いい気分転換になったな、と我が家に帰宅している途中、ふと後ろを見ると知り合いがいましたとさ。以上。
「こんばんは。京都は楽しかった?」
手を振り笑顔で知り合いこと彼はそう言う。お前なんで気配消して背後にいるんだ。
「あ、ああ。楽しかったよ」
「そっかあ。よかったね。いい気分転換になったんだろ?」
「う、うん」
そう言って、横並びに歩きながら話す。
……家は、もうすぐそこだ。
どうも最近、いつも彼に会っている気がする。ああ、いや、待ち合わせをして会っていたとかではなく、『偶然』出会うのだ。近所のスーパーで、学校で、家の前で、図書館で、そして帰り道で。多種多様に彼と出会う訳だが、そろそろ突っ込んだ方がいいのだろうか。
お前は、ストーカーか!!と。
……いや、どうにも最近彼と出会わないと物足りない感じがするのは確かなのだが。本当に、頻繁に出会うことを除けば、彼はとてもいい友人なのだ。
そんなことを考えながら歩いていると、もう家の前だった。彼は「もう家の前だよ?」と不思議そうな顔で僕に聞いてくる。……お前に家の場所教えてないよな、僕。
「ああ、ありがと。じゃーな、また明日」
「ああ、また明日の講義でね」
これが僕の日常。
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