ごーあうぇい心霊現象!(下)




「……はい?」

……先輩は何を言ってるのだろうか。
謎がわかった?まだ調査も推理もしていないのに。

「……あー。あのー、先輩?謎がわかった、とは?」
「ちっちっちー!言葉の通りだよ後輩くーん!」
「謎は解けたと?」
「うん!あれだね!あれ!《謎はすべて解けた!》」

某見た目は子供頭脳は大人な漫画の決め台詞を言う先輩。まあ、先輩は見た目は大人、頭脳は子供なんだけども。

「はあ。ではどうしてこんな事件が起きたのか、説明してくれますか、先輩?」
「えーっとねえ……」

そんな始まりで話し始めた先輩の話は、一般の人にお話したら10人中10人が「馬鹿馬鹿しい」と言いそうなくらいに荒唐無稽な推理だった。まあ?そりゃあ生き返る先輩の後輩である僕は勿論信じましたけれども。
でも、ねえ?桜の下に埋まる死体の霊が犯人だ!なんて。普通は信じられないでしょ?しかもそれが、この学校の【七不思議】だってんだから。

「……はあ、【七不思議】ですか」
「後輩くんの考えてる事はわかるよー?でもね、七不思議は七不思議でも、不思議の思が死ぬの『死』の方の【七不死議】なんだよねえ」
「……なるほど?」

通常の七不思議より危険度が高そうな名前だなあ。

「その通り!後輩くんはやっぱり賢いねー!」

よしよしされました。やったー。

「……どうも。それで、これが【七不死議】ってやつの仕業だとして、どうやって解決するんですか?」
「うーん、やっぱり話し合いかなあ!」
「……はあ、」

話し合いで解決するもんなんですかね?と、声に出しそうになったが、ぎりぎり耐えることに成功した。
そんなこんなで時間は飛び、午前2時。世にいう丑三つ時である。
そのあいだ何をしていたかというと、晩御飯を外食で済ませ、コンビニで眠気覚ましやら温かいものを購入し、後はひたすら待機するという、特に盛り上がりもないイベントばかりであった。先輩が可愛いので僕は大変満足です。

「夜桜さんー!夜桜屍体(やおうしたい)さーん!お話しましょー」

手をメガホンに見立ててそう呼びかけている先輩は、どこかのアニメのワンシーンに出ていてもおかしくない。なお、僕は後ろで絶賛待機中である。
……暫くして。ぼこぼこと桜の下の土が盛り上がり、件の人が登場した。……人、人でいいんだろうか。ゾンビやらなんやらでも特に驚きもしないぞ。
名前だとか、桜という言葉から連想した服装(要するに、長い黒髪に白い着物とか、そんな古風な服装だ)とは全くもってかけ離れたその人……ああ、もういいや。夜桜(やおう)さんは、ぱんぱんと軽く服に付いた土を払ったあと、やあ、と案外軽いテンションで先輩に手を振って挨拶をした。

「久しぶり?」
「久々ですよう!いつぶりですかねー!でもでも!それより先に今日はお話があってですねー!」
「うんうんわかってるわかってる」
「もーさんってば!」
「だからその間抜けなあだ名やめてよね!」

もーさん?夜桜屍体(やおうしたい)のどこからそのあだ名が出たのだろうか。まさかとは思うが、先輩のことなので、真ん中のところを取っておうしさん、うしさん、うしさんはモーと鳴くのでもーさん。みたいな感じなのだろうか。……ううむ、実際にありそうなのが先輩の素敵なところだ。
ところで、僕があだ名についてぐるぐると考えている間に話は纏まったようで、先輩はにっこり笑って、もーさんまたね!なんて言っていた。夜桜さんも夜桜さんで、もーさんはやめてって……もう。なんて言って微笑んでいる。満更でもないのだろう。結局、夜桜さんには一度も挨拶出来なかったが、まあ。それはそれとして、先輩の気を引く事件がなくなるのはいいことである。


めでたしめでたし。



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