怒涙


怒り/げらげらと下品に笑う汚物達を見て、ぎゅうと拳を握る。掌に爪が食い込んで、少しぬるりとした感触を覚えた。冷静になれ。そう自分に言い聞かせる。「ほんっと、あいつって馬鹿だよねえ!!」げらげら。……ああ、もう我慢できない。目の前の蟲を生き埋めにして、水をかけて、じわじわと殺してやりたい。いつもならその程度で済む筈なのに、今の私にはそんな理性的な気持ちなどなかった。ぐらぐらと煮え滾る熱い何かが私の腹と思考を侵食していく。ああ、本当に……ぶち殺してやろうか。




泣き/めまぐるしく変わっていく映像に集中していると、ぴりりりり。ぴりりりり、と機会音が館内に響いた。場違いな音に集中が途切れる。いらいらとしながら辺りを見回すと、後ろの方で明るい光が見えた。どうやら学生のようだ。最近の若い奴はマナーも守れないのか!!そんなことを考えながら学生を見ていると、どうやら顔に出ていたらしい。学生は怯えた目で私の事を見ていた。そしてその学生が携帯の電源を切ったのを見届けると、満足げに私は頷き、再び映画に集中し始めた。



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