ごーあうぇい心霊現象!(中)


「これが事件現場かー!」
「らしいですね。亡くなった生徒はこの桜の下に横たわっていたらしいですよ」
「へー!」

行きたい行きたいと駄々をこねる先輩のために先生を言いくるめ、事件現場へと来た。行けないかも、と言った時、下がりに下がった先輩の機嫌も元に戻り一安心。
……それにしても、立派な桜の木だ。恐ろしささえ感じる程大きな幹、吸い込まれそうな程美しい薄ピンクの花弁達は、まだ春でもないのに満開で、時折ひらひらと花弁を落としていた。

「桜の下には死体が埋まっているんだよ、後輩くん」
「何処かで聞いたことのある話ですね。確か、死骸の血を吸っているから桜の花弁は薄ピンクで血管のような模様なんでしたっけ」

もっとも、あくまで小説の話だけれど。

「大正解!流石後輩くんは物知りだねー!」
「この程度で物知りと言われても困るんですが」
「そうなの?」
「そうなんです」
「そっかー」

そう言って先輩は僕に背を向け地面を蹴ると、ぐるりと振り返り、目線だけを僕に向けてにんまりと笑った。

「後輩くん、私ね?」
「はい、どうしましたか?先輩」



「……謎、わかっちゃった」


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