01

「それだけ?」
本当にそれだけでいいのか。御代はそれだけなんだろうか。もしかしたらその後に命でも取られるんじゃないだろうか。そう私、真白 光は思った。

「あぁ、他にも何かあるんかじゃないのかと思っているのかい?」
あははっと朗らかに噂を教えてくれたおじさんは笑う。
「大丈夫だよ。なんなら他の人にも聞いてみればいい。きっと皆同じことを言うよ。」
確信を持った口調でおじさんは言った。

「−ありがとうございました。」
お礼を言ってその場を立ち去る。

私は所詮ジャーナリストというものだ。なにか面白いものを見つけ記事にする。そういう仕事だ。私は自分で面白い記事を書きたいからこそ、この仕事についた。自分で言うのもなんだけど毎回結構いい記事を書けていると思う。手ごたえのあるものを題材にするのは楽しいし好きだ。だが、上司に、「今回はこの町で噂になっている少年にインタビューしてきて欲しい」と言われたときはさすがに殺意が芽生えた。どうやって噂の元となる少年を見つければいいか分からないし、さらに上司はこう賜った。「期限はあと1週間だ。」と。さすがに無茶だろう上司。前々から無茶を言うなぁ…とは思ってたけど、さすがにそんな世迷いごとを言うとは思わなかったよ。

そんなこんなで結局上司にはむかう事は出来ず今に至る。

「結局、噂の場所に行ってみるしかないかぁ…」
少年が出てくるとは思わないけど。内心付け足す。
助けて欲しいこと、判らないこと。そんな事を知りたいとは思わないし、それに私の手元にその少年の欲しいモノがあるとは思えない。私が持っているものはインタビュー用のメモ帳とシャープペン。あとはおじいちゃんの形見の本。
誰がそんなものを欲しいと思う。唯一まともな本だって、読んでみたけど暗号みたいのばっかりで全然意味が解らなかった。




ーーーーーー20分後。

「やっと着いたぁ!」

自然と浮かぶ達成感からそう叫ぶ。

−それにしても…

目の前に広がる深い森
そしてその森を割るように立ち並ぶ赤い鳥居
それらは異様な雰囲気を放ち、そしてどこか、神聖な雰囲気を思い出させる。
これからこんな所に上るのだと思うと、少し、怖い。

ー大丈夫、だよね。

目の前の赤い鳥居を一瞥し、ごくり、と生唾を飲み込む。
勇気を出して、一歩、また一歩と階段を踏みしめ歩く。


(随時更新予定!!)

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