プロローグ03(文月渚)



………いやあ、今日はツいていた。
風呂から出て、就寝の準備を済ませた頃。文月はしみじみとそう思った。結局スーパーのタイムセールには間に合わなかったものの、新しく出来た店にふと入ると、セールの時より安い玉子を発見したのだ。結果的に得をした。
思い出し笑いが出そうになり、手を口に当てる。ふふ、と隠し切れなかった笑いが洩れたが、まあ気にしない。ふとにやけてしまうほどには嬉しかったのだから。
にやけながら目を閉じる。やがてやって来た睡魔に身を任せると、途端に文月の1日は幕を閉じた。


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