ごーあうぇい心霊現象!(上)
「こーはいくんこーはいくん!事件なんだよ!!」
「はいはい、今度はどんな事件なんですか?」
「ふふーん!今度の事件はねーえ!なんとなんと殺人事件なのですー!!!いえー!!」
どんどんぱふぱふー!、そう言いながらぴょこんぴょこんと跳ねる先輩を微笑ましく見やる僕。……いつも通りの光景だ。どうせ殺人事件、だなんて言ってはいるけれども、いつも通り落とし物探しやらなんとかなんだろう。あのねえ、お金は大事なんだよ!!お金が見つからなかったらその人死んじゃうかもしれないでしょー!!、とかそんな感じで殺人事件(かも)だなんて先輩が言うのはいつもの事だ。
「殺人事件ですか。殺されたのは?」
「あのねー!隣のクラスの〇〇くん!!」
どうやら校庭に咲いてる一番大きい桜の樹の下で殺されてたらしーよ!!怖いねえ!そう大袈裟に身振り手振りしながら説明する先輩を見て、僕は認識を改めた。……どうやら、本当の殺人事件らしい。
*
「ほら!はやく事情聴取に行かなきゃ後輩くん!!私たちがこの謎を解かなきゃいけないんだよ!」
「あーもう、はいはい」
何やら使命感に燃えている先輩は、興奮した様子で俺の腕をぐいぐいと引っ張る。そんな先輩に生返事を返しながら、俺は本物の事件とやらのことについて考えていた。
事件が発覚したのは午前四時三十分のこと。いつものように警備員が学校に着いて、校門の鍵を開けたところで、我が学園の中で一番大きい桜の樹の下に何か大きなものが横たわっていることに気付いた。気になり近付いてみたところ、それが倒れた学生である事に気付いたようだ。我が学校には登校する際、必ず腕章を付ける義務があり、死体にその腕章が付いていることから警備員はこの学校の生徒だと思ったようだった。 それを見た警備員は急いで校長に連絡。校長は通報するべきだと判断し、110番通報をした。
……と、要するにそういうことらしい。
「あー、だから昨日休校の連絡が来たのか……」
ぽつりとそう口にすると、先輩はくるりと振り返った。
「……?何か言ったー?後輩くん」
「いいえ?」
「そっかー」
先輩はそう言って納得したのか、俺の腕をまた楽しげに引っ張り始めた。……楽しかったんですか、これ?
多分もう先輩の頭からはもう学校に行くことなんてもう頭からすっぽ抜けてるのかもしれない。ほら、先輩ってばすぐにもの忘れちゃうから。
「ほらー行こー?」
ニコニコ笑いながらそう言う先輩に、俺は今日学校は休校だってことをどうやって伝えるかを考えるのだった。
[ 14/40 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]