無題(嘘吐&真白)


「実は僕って、神様じゃあないんだ」
「……は?」

突然そんな事を口にした神様は、にこりと微笑みながら私を見据える。桜の咲き始めた時期で、折角だし、花見でもしようか。なんて言って縁側に座り、お茶を啜っていた時だった。本当に驚いた時は、お茶を吹くなんてギャグみたいな反応なんてしない事に気付けたのは、一つの収穫だったかもしれない。当然、特に使えない収穫物だったことはご理解していただけると思う。

「……嘘だけど」
「……はあ」

何処かの世界の誰かさんが口癖になってそうなそのセリフを口にした神様は、私を見てニヤリと笑う。

「ほら、あれだよ。エイプリルフール」
「ああ、なるほど……」

俗世に塗れすぎているこの神様でも、流石に知らないかも。だなんて思っていたけれども、そういえば割と有名なイベントだったかもしれない。全く覚えてなかった。
何時もニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべるこの神様が、いたずらっ子の様にニコニコと笑うのは珍しい。その笑みを見れるのなら、エイプリルフールも悪くない。マシロは目を閉じ、そっと微笑んだ。


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