2016

キンと冷えた夜。街灯がぽつりぽつりと仄かな光を道に照らしている。凍りそうな程冷たくなった手先に息を吐きかけると、白い息が出た。何故こんなにも寒い夜に外へと出てしまったのだろうか。己の傍らにいる、突飛な意見を言い出した人をちらりと見ると、楽しそうに笑っていた。
「ねえ後輩くん!降ってるね、雪!!」
「……ええ、そうですね」
「なになに後輩くんご機嫌ななめー?外でたくなかった?」
そう言って先輩は僕の方を心配そうに伺い見た。誤魔化すようにふい、と顔を背けて僕は言う。
「あー。いえ、大丈夫ですよ。で?言ってたとこってまだなんですか?」
「うーん、もうちょっとかなあ」
「そーですか」
……静寂が場を支配した。よくあることだ。ぼんやりとしながら歩き続ける。もう一度先輩の方を見ると、楽しそうに雪を蹴りながら歩いていた。随分と楽しそうだ。それだけでも寒い中外に出たかいはある。
「……あっ」
「どうしました?」
「着いたよ後輩くん!」
そう言って先輩は正面を指さした。言われたままにその場所へと目を向けると、眩しい光が僕を襲った。ぎゅっと目を瞑る。
「……後輩くん」
目を開ける。
「あけまして、おめでとう!」
初日の出をバックに、先輩はにこりと笑った。


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