貴音さんと、

「あんたっ、いいかげんに、離れな、さいよっ!!」
「やだね。」
「―はぁっ!?」
「だって、貴音と居るの、(色々と楽だから)好きだし。」
「―いっ、意味わかんない!!」
「あっ、おい、待てよ!」








「―そう思えばあの時のあれって、こういう意味だったのね…」
「―なんだよ、勝手に誤解したのはお前だろ。俺は事実しか言ってなかったんだからな。」
「―そうね。」
「――ぁの、」
「はい!いらっしゃいませ、お客様!!ご依頼でしょうか?」
「あ、えっと…」
「(結構繁盛、してるのよねぇ…)」
繰り返す夏が終わり、シンタローが始めたことは探偵事務所を設立することだった。
「―それとも、天罰をお望みで?」
――しかも、復讐も請け負うものだ。
「(ほんっと、悪趣味な奴…)」
いや、でもそうじゃないとあいつは生きることができないのだった。
―突然だが、シンタローは特殊な体質を持っている。
普段、私たちは食事をして栄養を取る。当たり前だ。だが、シンタローは違う。シンタローは食べ物に味を感じることができないのだ。要するに、私たちが食事をしている中、シンタローは何の味もしないものを無理矢理口に詰め込んでいたのだ。エネの時にあまり食べていなかったシンタローに対し、脅迫まがいの方法で無理矢理食べさせていたこともあり、本当のことを知ったときの罪悪感は凄かった。

閑話休題

とにかく、食事で栄養が取れないのならば、シンタローは何を食べて(栄養分として)生きているのか。









―悪意である。

いや、詳しく言うと悪意や嫉妬心、そういった負の感情を栄養とし、食べているのだそうだ。特に絶望が美味しいらしいが、実際に食べたことがあるのかと、聞かなかった私を誰か褒めて欲しい。因みに、喜びや希望といった正の感情は美味しくなく、しかもシンタローにとっては毒に等しいようだ。

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