※下ネタ注意


のどかな日だった。
仮にも戦争中に、こんな日があって良いものかというほど穏やかな日だった。
珍しく陽がさしているおかげで暖かく、柔らかい風が伸びた襟足をくすぐる。
季節に例えると春だな、とバッツはお守りの羽根をなぞりながら考えた。
何となく気分が良い。
どちらかといえば気分はいつも良いのだが、今日は格別だ。
何と言っても、我らがリーダーの計らいで、一日中自由時間となったのだ。
こうなると、面白いことに、何故か自然とクリスタル探索時のパーティメンバーで集まってしまう。
もちろんそうしなければいけない決まりはどこにもなく、いつもそうなるわけでもない。
ただ「今日はあいつに絡みに行こう」なんて目的意識が特に無いときは、何となく一緒にいるのだ。
そして今も、バッツ、スコール、ジタンの三人は、所在なくして向かい合って胡座している。

スコールは手入れを終えたガンブレードをすぐそばの地面に突き立てた。
ウォーリアとの手合わせの順番待ちであるが、遠くではまだフリオニールが手合わせ中で、クラウドがそれを見守っていた。
彼もまた順番待ちである。
視線を輪の中心に戻すと、バッツとジタンは待ってましたとばかりにスコールを話題に入れた。
スコールは普段ガンブレードを手入れするとき、夢中になりすぎて周りの声が聞こえなくなる。
行動を共にすることが多い二人はそれがわかっていて、手入れ中は話しかけず、終わった途端に話題を共有するのだ。
そして本日の話題とは「なぞなぞ」だった。
聞くと、二人は先ほどからなぞなぞを考えてお互いに出しあっていたのだとか。

「とりあえず、お手本!」
「いけ、ジタン!」
「長ければ長いほど短くなるものは?」

一見矛盾しているが、聞いたことのある問題だ。

「…ろうそく」
「正解!やっぱ簡単すぎたか」

そりゃそうだ。
もちろんもっと難しいなぞなぞも知ってはいるだろうが、文化発展の度合いの違う三人では、正解も正解ではなくなる可能性がある。
だからろうそくなど、この世界にもあるようなものが答えになる場合しかなぞなぞとして成立しない。
今回は厄介な話題だ。
昨日の「最近ショックだったこと」の方がまだ盛り上がっていた気がする。
しかしこののどかな空気の中では、このぐだぐだ感も心地よい。

「次、おれな」

それでもなぞなぞを思いつくのは、素直にすごいと思う。

「最初は4本、次に2本、最後は3本。これなーんだ」
「はい分かった!人間の足!最後のは杖で」
「せいかーい。なんだ早いな」
「だって聞いたことあるし。スコール今の分かったか?」
「ああ」

うーん、と腕を組んだバッツが唸った。

「やっぱ難しいよな」
「スコール、次、お前の番」

ジタンに促されて考えてはみるけれど、何も思いつかない。
頭が真っ白ってこういう状態のことを言うのだろうか。
バッツとジタンはちょっとした雑談をしながらスコールを待つ。
もう何も思いつかないんだからいいんじゃないかと思いつつもしばらく無言で考えていると、ざくざくと音がして、クラウドが近づいてきた。
若干衣服が汚れているので、手合せが終わったのだろう。

「スコール、ウォーリアの休憩が終わったら次はお前の番だ」
「…ああ、わかった」

バッツはスコールと自身の間の地面をぱんぱんと叩き、自分はジタンの方に詰めた。
まあ座れよということか。
スコールも少しジタンの方向に詰め、クラウドが大剣を地面に突き立て、座るのを待った。
クラウドが胡坐をかいた途端、待ってましたとばかりに賑やか担当二人組がクラウドをこの話題に引き込んだ。

「今、なぞなぞの出し合いっこしてたんだよ」
「結構難しいんだぜ。クラウド何かないか?なぞなぞ」

ふむ、とクラウドは少しの間考えて、にやりと口元に笑みを浮かべてなぞなぞを出した。

「テントの性別は男だ。その理由を答えよ」
「わかった」
「マジかよおい」
「スコールはえええええええ」

俺らにもちょっとくらい考える時間くれ!とのジタンの主張で、スコールはクラウドに答えを耳打ちする。

「……ああ、正解だ。さすがだな」
「フッ、当たり前だ」

がッチリと手を組んだ二人に呆れたような目線が集中する。
何なんだよお前ら、と言いながらも、ジタンとバッツは「包容力がある」「骨がある」などと答えていくが、すべて却下された。
あーもうだめ!と根を上げたのはバッツだった。

「もう降参!答え教えてくれ」
「……なんか嫌な予感してきた」

まさか、と思ったジタンの予感は的中した。
クラウドとスコールは目線を合わせて同時に言った。

「「すぐにたつ」」






相互記念小説。
五月七日様に捧げます。


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