夕介VS瀬兎 [ 40/50 ]


お子さんお借りしました!行動、口調の間違い指摘等大歓迎。
(織宅よりレティ嬢、真緒ちゃん、拓さん)


「うえー、負けちゃった〜」
「ごめんねー、夕介くん後よろしく」
「うぃーっす、まぁ気軽に行ってきますわ」

戻ってきた朝陽とレイラとハイタッチしてフィールドの柵を越えて中央のラインに向かって歩き出す。向かい側からも同じように珍しく真面目な顔をして従兄弟である瀬兎が歩いてきた。
少し離れた所に立って向かい合って、自分よりも下にある顔を見る。
瀬兎が楽しそうにニヤリと笑った。

「第三回戦、斎宮路夕介VS鐙瀬兎。試合開始!」
「最初っから全開でいっくよー!」

試合が開始すると同時に瀬兎がポケットに入っていたコインを指で弾いた。空中でくるくる回りながら落ちるそれを右手でキャッチする。
コインを中心に瀬兎の右腕のまわりにバチバチと電撃が纏って行く。

この技にはいつだかに見覚えがあった。これは確か……。

たらり、背中に垂れる汗など気にする暇なく、左に動いた瞬間に青白い光が瞬いた。
横を見ると俺が立っていた場所よりも少し外れた場所に一直線に電撃のレーザーが飛んでいた。

……殺す気かよ。

「殺す気か!」
「気のせいだよ!ほらほらどんどん行くよー!!」

しかし俺の訴えも虚しく瀬兎が次々と電撃レーザーをぶちかましてくる。だあああっぶねえ前髪が!!前髪が!!!くそったれ!!
つかあいつどんだけ高出力でぶっ放すんだよ!?能力高ぇのは知ってっけどここまでとは聞いてない!!

電撃レーザーをバック転したり何だりで避けつつ、瀬兎の位置を確認して瀬兎の真横に火柱を上げる。
ギリギリ燃え移る位置。あんまり女子は攻撃したくない性質だけど今回ばかりはそうも言ってらんねえ!!

突然の火柱に少なからず瀬兎が驚いた事により、攻撃が止んだのを利用して一気に距離を詰める。
自分と瀬兎の周りを火柱で囲んで、右足に炎を纏わせて蹴る。しかし俺の蹴りは虚しく空を切った。目の前に瀬兎の姿はない。
逃げ場はない。こいつの身体能力で逃げられるとしたら…上!
首を上に向ける。瀬兎の身体能力の高さと能力は知っている、むしろ俺は上に避けてくれるのを待っていた!

「ふふんっ!夕介!次に貴様は”空中なら逃げ場はないぜ!”と言う!!」
「空中なら逃げ場はないぜ!……なっ!?」

まるで大きな何かを振るかのように勢いよく両手を振りあげて、落下しながら俺に向けてその大きな何かを振りおろす。
やっべ、火柱のせいで逃げ場ねえ…ッ!!
全身に起こる衝撃と、周りに起きた強い風を感じながら地面にあおむけに倒れた。眩しい。

「試合終了!三回戦はチーム日本文化の勝利!」
「よっしゃオイラの勝ちー!」
「だああああ負けたあああああああ!!自爆した畜生!!!!」

そのままじたばたと仰向けのまま暴れる。綺麗な青空が憎い。くっそ。

「ほらな、参考になっただろう?」
「…おっしゃる通りで」

最後の礼のためにフィールドに降りてきていた零にそう言われ、少しむくれながら差し出された手を取る。立ち上がって、並ぶ7人にならってお互いに向き合う。

「それでは、チーム名決まらん対チーム日本文化の対抗戦は二勝一敗でチーム日本文化の勝利です。これで対抗戦を終了します」
「ありがとうございました!」

全員で頭を下げてお礼を言って、終了。
そこからはフィールド外に早足で歩きながらいつものように仲良く言葉を交わす。

「あ、零さん。さっきは顔面狙ってすいませんでした」
「いえ、お気になさらず」

「悠生と冷の能力ってこう考えるとずるいよねー」
「あら、使い方次第じゃないかしら?」
「うーん、私ももっと強くならなくちゃ」
「レイラが望むなら今度手合せとかどうよ」
「いいの?ならお願いしようかな」

「だーくっそ。マジ瀬兎能力強過ぎっしょ」
「レーザーはあれでも威力押さえてるよ?最後のハンマーは割と容赦なく行ったけど」
「まじかよ!?」

それぞれが思い思いの会話をしていると、ふと観客席が目に入った。……え。

「レティ嬢に拓さんに真緒ちゃんいたの!?」
「ええ、貴方の試合が始まる直前に着きましてよ」
「うわーまじかよかっこわりーとこ見せたうわー、うわー……」

何だか恥ずかしくなって両手で顔を覆う。横で瀬兎とはしゃいでる真緒ちゃんがくそ可愛い。レティ嬢のが可愛いけどさ。

「でも最後、惜しかったな」
「やーまさか自爆するとは……考えが足りなかったっすね」
「でもまぁ、前に比べたら能力の細かいコントロールもできるようになってるし、上出来上出来」
「まじっすか!」
「まぁオイラに負けたけどな!」
「黙れクソ引き籠り」

うあー、うん。もっと頑張らねーと。


チーム名決まらんVSチーム日本文化
第三回戦勝者、鐙瀬兎。
対抗戦、チーム日本文化の勝利。


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