顔合わせましてもチーム名は決まらない [ 2/50 ]
…まじでか。
どうも皆さん、女性の味方夕介です。
まずは編成されたチームと顔合わせと言うことで、現在、俺達は休憩室で丸いテーブルを囲み交流を図ろうとしていた…んだが。
「…あーうん、二度めまして」
何とも言えずに出たのはそんな言葉。
俺は身内や知り合いが学院にいるなんて話は聞いたこっちゃねぇからもちろんチームメンバーは知らない奴しかいない。
知らない奴らしかいない、が、初対面ではない。
「さっきぶりデス…」
「あらあら、気にしなくていいんだよ?」
「いやいやめっちゃ気まずいからなこれ!」
「?なにかあったの?」
「先程こいつに声をかけられてな…所謂ナンパ、というやつだ」
「うわあああああ言うな言わないで!!」
そう、チームメンバーの女性陣2人は先程ナンパをしかけ、見事にフラれた2人だった。
顔が熱いよ母さん!!
「なんてこった…」
「まぁまぁ気にしないで。ここはひとつ自己紹介でもどうかな?」
「そうっすね…そちらからどうぞ」
るーと涙を流しながらテーブルに突っ伏す。
少し離れたところで俺のツボドストライクな女子の声と男子の声が何やら言い合っているのが聞こえたが、今はそちらを見る余裕すらない。
「じゃあボクから!大神田朝陽でっす!オオカンダって名字ゴツくてあんま好きじゃないんだよねぇ、朝陽でいいよ!」
「朝陽くんか、よろしくね」
「よろしく頼む」
「そういやずっと気になってたんだけどさ」
言いながら顔を上げる。
先程大神田朝陽と名乗った白髪の幼い子が首を傾げる。
「お前男だよな?」
「あ、分かっちゃった?ざんねーん」
「俺をなめるなよ!」
「さっすが偶然チームメンバーをナンパした人だね!」
「あっ言わないでヘコむ」
朝陽に傷を広げられまたテーブルと向き合う。
いやぁ不覚…まさか同じチームとは…くそぅ。
「ふふ、面白い人だね。私はレイラ。レイラ=リアルガンデ=クリディエアリア」
「ながっ」
「でしょう?だからレイラで良いよ」
「まぁよろしく…」
クスクスと笑うレイラ。確実にこれ俺いじめられてるよなひどい。
「私は暮之宮零。なんと呼んでくれても構わない」
凛とした声だ。
こいつリーダーで良いんじゃないのもう。
「俺は斎宮路夕介…で、いきなりだけどリーダーは零たんを所望しまーす」
「あ、ボクもー」
もうこの際吹っ切れよう、そうだそれがいい。
先程までの後悔を振りほどいて挙手して零をリーダーに推薦すれば、朝陽も手を上げた。
続いてレイラもにこにこしながら手を上げる。
「そうだね、私も零たんが良いな」
「リーダーは構わないがその呼び方は…」
「零たんが好きにしろって言ったんじゃーん」
「…前言撤回しよう、零で頼む」
「はーい」
けらけらと朝陽が笑って元気よく返事をし、続いてチーム名の話になる。
どうせならとかっこいい名前にしたいと案を出してもどれもいいのは出なくて、でも諦めたような朝陽の一言は天才的だと思う。
からかいからかわれ。
最初はついてないと思ったが、このチームなら中々に楽しめると何故だか確信できた。