前戦談 [ 41/50 ]


 本日何度目かも分からない対抗戦の日、学院をチーム4人でぞろぞろと歩く。天候は天気予報によると雲ひとつ無い快晴で外で戦うには持ってこいの天気。雲ひとつ無い快晴とか言うけどそういう時に限って空見たら丁度雲あったりするよね!
 とまあどうでもいいあるあるなようなないないなような事を考えつつ歩いていると不意にチームメイトの1人である廉が声を上げた。
 ちなみにあたし達がこの学院に入って何度目かの対抗戦なのかは正しくは忘れたともいう。

「いやー待ちに待った対抗戦ですぜ一歌殿!」
「ほほほ、随分と張り切ってテンション上がりまくりんぐではないか廉殿よ」
「座学程暇なものはありませんからなぁ!実戦は良いですぞ〜血湧き肉躍る!」
「そうですなぁ、座学は我々寝てばっかりですからのう」
「ちなみに俺は昨日ノートに涎の痕が大量的にだな…」
「廉殿お主も悪よのう」
「いや、廉お前それ後でめんどくさい事になるの俺とハオンなの分かってる?つーか一歌のそれ何キャラだよ」

 ようやく入った燐のツッコミに対して分からない!と二人で声を揃えながら止めていた歩みを再開する。ちなみに燐は前で頭を抱えていた。
 燐さんよもう知っているとは思うがこれごときで頭を抱えていてはこの先やっていけませんぞ。

「でもそんな事言っといていざ勝負が始まると燐って後ろに大魔神般若面が見えそうな位めっちゃくちゃ楽しそうにするじゃん」
「それ絶対見えてるのお前だけだから」

 まじでか。あたしだけに見える不思議な存在的なあれか。

「つーか般若面って全然楽しそうじゃなくね?何で後ろに見えるの?」
「それだけ燐が凶悪な笑顔浮かべて痛いっ!」

 純粋な疑問に答えてあげたと言うのに燐のチョップが思いっきりあたしの頭に入る。リボンから生えてるアホ毛がみょんっと動く気配を微妙に感じた。

「俺は廉と違ってそこまで戦闘狂じゃない」
「褒めんなよ照れる」
「いや絶対褒めてないよレン」

 燐、廉、葉央と続けて会話するのを聞きながら歩みを進め、対戦相手が掲示されている掲示板の前に辿り着く。

「げっ」

 掲示板を見て、まずそう声を漏らしたのは燐だった。漏らされた声から戦うのがつらい相手なのは確実なわけであって、あたし達もこの学院3年目である程度慣れてきたとはいえ、長い間いる先輩方からしたら全然ひよっこというわけである。

「何々お相手どちら様?」

 聞くだけで見ようとしない廉を押しのけて、掲示板を見る。そこに書いてあったのはチーム教師'sの文字。流石の一歌さんでも思わずわおという声が漏れた。
 一歌さんに続いて掲示板を覗き込んだ葉央がしかめっ面をして、廉の方を向く。

「教師だってさ、廉」
「まっじで?それはテンション上がりますなぁ葉央どん」
「誰だよ上がんねえよどの雰囲気見て言ってんだよ」
「あそこの女子会トーク」
「チームの雰囲気を感じろよそこは」

 実に意味の分からない会話をしている廉と葉央は放って置く事にする。ツッコミを入れられたら喜ぶのが一歌さんだけど更にボケを重ねる廉は流石だと思う。
 何がとは別に言及はしない。

「で、オーダーはどうすんの?つっても教師'sじゃ誰が出るのかさっぱりだけど」
「となるといつも通りで良いんじゃないか?その方が動けるだろ」
「それもそっか、じゃあ一回戦目は一歌、二回戦目は燐とレン、最後にうちが出るよ」
「オーケー、頼んだ」
「で、話聞いてたの?そこのお2人さん」
「聞いてなかったよ!」
「リピートアフターミー!」
「それ言うならワンモアプリーズじゃないの?」
「琉生先生に発音がなってねぇって怒られそうな発音してたな」
「まあ実は聞いてたんだけどね!」
「言ってみ」
「一回戦目がドリアンで二回戦目がマンゴーとパッションフルーツで三回戦目が鯨でしょ!」


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