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 放課後、一足早く学校のテニスウェアに着替えた白石くんに連れられて私はテニス部を訪れた。
 庭球部と書かれた表札。小さい門扉の先には似つかわしくない気もするけどテニスコートがあるんだそう。この学校はところどころお寺っぽいような造りになってるから前の学校と比べると和風で洒落ていると思うけど、学校っぽくはないような。

「コートはこっち。」

 白石くんが門を開けて見ると確かにテニスコートがあった。フェンスの向こう側には木とか外壁があってボールが出ていっても取りに行けそう。

「そんで部室が隣。ミーティングとかはこっち。今は皆着替えてるから覗いたらアカンで。」
「うん。」
「素直に返されると恥ずかしいわ……。」

 素直に頷けば白石くんが照れ臭そうに苦笑い。覗かないよ!とか適当に突っ込むべきだったのだろうか。そんな微妙な空気のまま一度テニスコートを外れて次は用具室に案内された。

「ここにボールあるから着替えてる間にコートの横に出しといてな。今日は俺も手伝うから分からんことあったら聞いてや。」
「ありがとう。」

 黄色いテニスボールが何個も積まれた大きなカゴをいくつか、コートまで運び終えると先輩と思わしき人たちがコートに入ってきた。でも一緒に練習はしないらしくコート2面分のスペースだけでランニングや準備体操を始めた。

「で、次はドリンクなんやけど。」

 私がぼーっとしてるのを気に留めず白石くんがまた新しく説明を始める。はっとして彼を見るとボトルが何本か乗った机を中から運び出していた。

「粉はこの箱ん中入っとるから。1ボトルに粉半分くらいで水で薄めて作ってな。」

 1ボトルに粉半分。頭の中でメモをして繰り返す。

「あとはタオル配ったり、洗濯。ドリンクが無くなったら補充頼むわ。」
「……結構ハードワークだね。」

 前の子もそう言うてたわ、と眉を下げて弱ったように白石くんは言った。あまり触れない方がいい話題なのかもしれない。でもせっかく白石くんがくれた機会なんだ。私も頑張ってみるよと意気込むとまた白石くんは笑った。