Info Text Memo Form



 職員室についてから程なくして教室に案内された。1年4組。そう、私のクラスは朝さっき会った白石くんと同じ4組だった。偶然過ぎて驚かずにはいられなかったけれどそもそも白石くんってどんな顔してる人だったっけ。すごい爽やかそうなのは覚えてる。

「席が1つ増えとるから気づいとると思うけどー」

 先生が前置きの挨拶を並べている間、廊下で待たされている訳だけどこの間が異様に長く感じる。異様ってレベルでなくこれ普通に長いのか。1,2……心のなかでカウントを取り始めたときに「あ、入ってええで。」と急にドアが開くものだからびっくりした。

「東京から親御さんの転勤でこっちに引っ越してきたそうや。仲良うしたってな。」

 教室の中に足を踏み入れるとまるで別空間に来てしまったかのようだった。先生に招かれるまま教壇の手前まで足を運ぶと改めて視線に緊張してしまう。


 個人的には不本意なんだけど他のクラスでは松葉杖の転校生とかいう二つ名みたいなものが出回ってるらしい。怪我してるだけなんだけどなぁ。誰が転校生?ってなると校内で松葉杖ついてるのは何をどう考えても私しかいないから少し視線が痛くなるときがある。

「同じクラスやったんやな。」

 さっき聞いた気がするような声。少し顔をあげたらまだ幼さの残るキラキラしたイケメン男子と目が合った。白石くんってこんな顔だったっけなぁと記憶がよみがえってくる。「やっと目合わしてもろた」と珍しいものでも見たかのような態度。さっきは暑さのあまり顔すら見てる余裕なかったから気づかなかった。

「……白石くん?だっけ。」
「そ、白石蔵ノ介や。」

 少しの沈黙。何て返したらいいか分からなかったのでとりあえず名乗り返してみたら知っとるわと一蹴された。白石くんは私の前の席に座るとなぜか微笑していた。

「大阪の人って皆……こんな感じなの?」
「東京もそんな感じなん?」
「どうかな……いろんな人がいるし。」
「せやな、大阪もそんな感じや。」

 一枚上をとられたってこんな感じなのだろうか。「まぁうちの学校はちょっと変わってるけどな」と白石くんは付け足してニッと笑う。

「松葉杖の転校生って何やかっこええやん。」
「いや、ただの怪我人だから……。」
「ただの怪我人て。」

 東京からの転校生、松葉杖ついとる子がそうやで、みたいな話し声が聞こえてくる。
 関西から東京に越してきたくらいで珍しがられるのなんて、あっても小学生までだった。逆だとやっぱり違うんだろうか。とはいえそんな人を宇宙人みたいに扱わなくてもというのが外の人たちに向ける本音だったりもする。