2月。去年は何貰ったっけなぁ。
　そわそわとしてる男子と真逆にうちのマネージャーは呑気に部室のホワイトボードに何か落書きしてる。この画伯はバレンタインなんて忘れてるな。といっても去年突拍子もなく部活終わりにチョコのカップケーキ配り出したから意外に今年も何か考えてるかもしれない。

　そんな画伯のペンを持つ手がぴたりと止まる。続いて何か思い出したような「あ、みんな14日って空いてる？」の一言で部内に静寂が訪れた。

「ん？空いてるけど……。」
「そっか、よかったー。」
「な、何かあるんスか？」

　赤也がそわそわとした様子で聞き返した。せっかく俺が濁し気味に答えたのにそんなあからさまな態度とったらいかにもバレンタイン期待してますってバレるだろ。それを聞いても特にマネージャーは何の反応もせずホワイトボードの予定表に文字が連ねられていく。

「部活のミーティング。」
「……ミーティング、ね。」

　分かってた。まぁバレンタインなんて言わないよなぁ。期待した俺たちが間違ってるような気がしてきた。