幼少期っぽい

鼻先を赤くしながら歯を見せて笑う弟をちらりと見て、司馬師は溜め息を吐いた。司馬昭が床に足を下ろす度に運び入れた雪の塊がぐちゃりと崩れる。凡愚な弟は自分が何をしているのか分かっているのだろうか。父に説教を食らうのは明白。これで風邪でも引かれたら更に厄介だ。他人を装う事にした。何故彼が部屋に雪を運び入れるのか、その行動自体司馬師には関係無いのだから。

「兄上、ほら」

他人を装うと決めた直後、鼻先にぴりりとした冷気を感じた。眼前には大きな雪の塊(固められたそれは最早氷に近かった)とそれを両手に持ち輝くような笑顔を放つ弟。

「手が悴むぞ」

「どうでも良いです。兄上が雪に触れて下されば、昭はそれで」

「わたしは何よりその手に触れたかったというのに、お前は」



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