折り重なるようにして寝台に倒れ込んだ。打ったであろう彼の背を心配するほどの余裕など無い。愉快そうに弧を描くそれに性急に唇を押し付けると口内に濡れた舌先がぬるりと侵入した。彼は一体何人の人間と閨を共にしてきたのだろう。気が付けば腰に絡み付いていた足は続きを催促しているようだ。――慣れている。そう思わざるを得なかった。執拗に舌を吸う彼の唇の端からは唾液が伝い、大人しく背に回されると思っていた両の手は私の寝間着の袷から滑り込み厭らしい手付きで肌を撫でている。ひどく艶やかだと思った。その動作一つひとつが男を欲情させる。虜にしようとする。狡猾だ。けれど逃れる気も止める気もないのだから、ああ私は既に虜にされていたという事か。二人の間には細い糸が引いている。舌がそれを絡め取って独り占めした。帯が落ちた。両の手が頬を挟んだ。外れている、もう外れている。理性が抑制が後悔がすべてが。諸葛誕、と赤い唇が誘う。その唇に食らいつく直前、司馬昭殿は甘い声色で囁いた。彼は、はじめてだから優しくしてくれよなと笑ったのだ。

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