「物好き。変態って呼んだ方が良いか」

「誘った貴方が悪いんですよ」

がりりと不吉な音がして、首筋に鋭い痛みが走る。少し遅れて鉄の臭いが鼻を掠めた。快楽とは程遠いけれど俺はそれが好きで好きで堪らなくて事ある毎に時と場所関係なく鍾会に強請っていた。気色悪い嗜好だと白い目で見られるやもと思っていたがそれは杞憂で、良いですよとぶっきらぼうな返事をした彼の目には明らかに好奇と喜びの色が混ざっていた。そこから先はぴったりと型が合うような感覚だった。

風が吹き抜け天道が見下ろすこの場所で、俺達は拙い愛情表現を繰り返す。欲を満たすのに周りの状況は関係ない、誰に見られようと問題ではない。気にしなければならないのは、俺達がいかに興奮しているかという事だ。互いに高め合うことが最重要。人は自分の事しか考えない生き物だから簡単だろう、何をどうすれば楽になれるのか。現実を突き付けられる前に逃げる。二人で。城壁の上で数多の目玉に見詰められる気分はどうだ。

「興奮しますよ…とても。貴方が一番興奮している事も知っている」

ああもうこれだからやめられない。
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