肩口に付けられたのは噛み痕だった。何でも、あの若き俊才を側に置くことに腹を立てているらしい。どうにも親密に見えるんだと、はは。首筋に次々と残される赤い痣、否、痕。ここに来て俺の悪い癖が、嗚呼めんどくせえ等と思ってしまったことを許して欲しい。それでも眼前の男を可愛らしいと思っているのだから、俺は結構な好き者だ。

「あなたは綺麗だ、美しい」

全くと言っていい程嬉しくない褒め言葉、どうも。どうせなら男前だとか逞しいとか言って欲しかったよ。

「お前さ、結局何なんだ?」

この前まで男色など汚らわしい事この上ないだとか散々言っていたじゃないか。それなのにこの変わり様、俺じゃなくても面倒だと思うに決まってる。首筋に顔を埋めていた筈の諸葛誕は、いつの間にか足の間に入り込んでいた。

「待、」

「どうしても欲しくなってしまったもので」
「気が付けばあなたを渇望していたのです」

めんどくせえ、と言おうとしたその前に舌を捩じ込まれて口を塞がれた。ある意味下剋上?あー、やだやだ。見えない尾を振りながら口内を貪る阿呆の後頭部に手を添えながら思う。存外心地好いものだと。



110511


title by 女狼
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