――鍾会。おい、鍾会。顔に何か描くぞ、良いのか。

「……ん、」

「お。起きた」

確か、夜通しの執務をしていて。それで、…嗚呼、寝たのか。仕方が無い、私は昨夜も働かない主君のお陰で睡眠時間を削られたのだから。目の前には筆を持って満面な笑みを浮かべた彼がいた。





目を見開いた。咄嗟に手首を掴んで引き寄せる。からん、と乾いた音を立てて筆が落ちた。

「好きです。口付けても良いですか」



「良いけどお前、相変わらず捻りの無い告白だな」
「これで三度目だ。流石に聞き飽きた」

何かを忘れているような気がしたが今はどうでも良かった。今すぐに腕の中に閉じ込めてしまいたかった。彼から目が離せなかった。彼は、確かに言ったのだ。



「次は、手放してくれるなよ」



110412
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