乙女心 | ナノ


乙女心





男の子と女の子の差って何なんだろう。胸が膨らむか膨らまないか?生理が来るか来ないか?髪の毛の長さ?ゲームが好きか嫌いか?可愛いかかっこいいか?きっと色々あるんだろうけど、そんなの上辺だけの違いで男の子も女の子もどっちも人間なのに区別されちゃうなんて何だか不思議だな。私も男の子に生まれていたらお兄ちゃんみたいにかっこよくなれたかも。木野先輩も夏未さんも冬花さんも皆可愛くてきれいだから同じマネージャーという立場であること女の子であることが少しだけ劣等感。所詮無い物ねだりではあるけれど。

時は練習の休憩時間。私は木暮くんと一緒に水道にいた。木暮くんは蛇口をキュイっと捻って出てきた冷たい水を頭から被る。練習の後だから暑いんだろうな、気持ち良さそうな表情をした木暮くんに黄緑色のカエルの模様がついたタオルを渡してあげる。ありがとう、なんて木暮くんは決して言わないけどそれでも受け取ってくれるのは私を信頼しているからなのかな、なんて。

「ねぇ木暮くん。」
「なんだよ」
「私なんかより、木野先輩とか夏未さんとか冬花さんにタオル渡された方が絵になるよね」
「はぁ?」
「何でもない。」

口に出したのは本音だけど本当はこんなこと言うつもりなかった。だって言ってしまったら酷く惨めだもん。まぁつまり私は今惨めなんだけど。それにしても木暮くんってば変な顔。やっぱり困らせちゃった。私的にはホントだよな、みたいな答えが直ぐに返ってくるのかななんて思ったんだけど、木暮くんは思った以上に優しいみたい。

「木ー暮くん?」
「なんだよ」
「早くいこ。」
「はぁ?話すだけ話して俺の話は聞かないなんて、流石やかまし、じゃん!」

優しいなんて思った私が馬鹿だった。やっぱり木暮くんは木暮くんだ。からかいの言葉を考える為に黙り込むなんて卑怯よ。
ウッシッシ、なんていつもの笑い声を漏らして私の方に顔を向ける木暮くんの頬を親指と人差し指でぎゅっとつねってやる。いだだだだあなんて声を漏らしているけど、私は何も悪くない。

「やかまし、馬鹿なし、ろくでなしっ!!!」
「言ったわね?木暮くんの馬鹿!」
「怪力女!!」
「なっチビ!!」
「これから伸びるんだよ!」

ふんっなんて、こうやって本当に馬鹿みたいでろくでもない口喧嘩をしているときは男の子と女の子の差なんて全くない、気がする。多分木暮くんがまだ声変わりもしてない私より背の低い男の子だからっていうのもあるんだろうけど、やっぱり男の子と女の子って区別こそしても同じ人間だよね、なんて。

背を向けてグラウンドに戻ろうとしていた木暮くんがこっちを振り返る。何、なんて口にしたらいつもみたいに悪戯っぽく笑って

「お前だって可愛い方………なーんちゃって!!やっぱ嘘!!」

同じ人間ではあるけれど、こんな風に笑ってくれる木暮くんの前だと、やっぱり女の子でいることは大切かな、って。
うーん、私ってちょっと変かもね。





(だってこんな風に思えるの木暮くんだけだもん)







こんな木暮くんと春奈ちゃんが可愛くて可愛くて。障害は鬼道くんですが(笑

20110409




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