兄妹の話 | ナノ




模様替えをした。
理由なんて、ない。何となく、何となあく気分を変えてみたかった、しいて言えばそれ位の理由で部屋の色をガラリと変えた。
オレンジ色を基調とした部屋は明るく好奇心が旺盛な様子をよく表しているとお義母さんには言われたし、私もなかなか私らしいなと思って気に入っていたのだけれど、案外青も良いものだ。何というか、落ち着く。

青色のカーテンに青色のクッションに青色のベッドに青色のカーペット。どちらかという藍色と言った方がしっくりくるかもしれないその家具達はまるで最初から私の部屋に居たかのようにしっくりとその位置に収まった。最初こそはお義父さんやお義母さんに心配されたけれど、もう大人になるのよね、そうだな落ち着いた色も良いかもしれない、だなんて。素敵な人達が両親なんだなと何だか嬉しくなった。

それから暫くしてお兄ちゃんが遊びにきた。落ち着いた部屋だななんて何だか意外そうな表情で言ったお兄ちゃんに私だってもう高校生よと言ったらお兄ちゃんは少しだけ寂しそうに笑った。お兄ちゃんが寂しそうだと、私も少し寂しくなる。だからどうしたのと聞いてみたら嬉しいんだだなんて、お兄ちゃん、私に嘘を吐かないでよ。

「嘘じゃない」
「嘘。だってお兄ちゃん、なんだか寂しそうな顔してる」
「ああ…寂しいさ。だけど嬉しい」
「どういうこと?」
「春奈も、女性なんだな」

何よそれ、そう言って青いクッションを投げても良かったのだけど、ゴーグルの後ろで細まるお兄ちゃんの目が優し過ぎて、何も言えなかった。




妹の話





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テーマ「人外ファンタジー」
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