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(太子と妹子)


※ただちゅっちゅしてるだけ。






適度に焼けた、健康的な肌をしている。目尻がほんのり赤く色づくのはまだ慣れていないからか。髪の毛を指でかき分け、かさついた、けれども柔らかな頬に手を添える。そうすると妹子の頬はさらに熱をもった。茶がかった黒くまあるい瞳が私の顔をうつす。その瞳にうつる私も妹子と同じように赤い顔をしているのだろうと考えて、つい頬が緩む。やっぱり好きだと心の中で呟けば、妹子が眉間にしわを寄せた。慌てて表情を引き締める。そうして、ゆっくりと妹子の、赤い血色の良い唇に私の唇を押しあてる。最初は触れるだけ。ふにふにと柔らかな唇の感触を楽しむだけ。けれど、それだけではやっぱり足りないから、下唇を優しく噛んで、上唇を舐めて、妹子から唇を薄く開けてくれるのを見計らって深く口付ける。唇だけじゃ足りないから舌を使うのだ。妹子も私もそんなにこの行為が上手じゃないから、息は乱れるし、唇は唾液でべたべたになる。ちゅ、と小さなリップ音と共に離れた唇はそれでも名残惜しくて、もう一度だけ触れ合わせる。私から、妹子から。一度だけって思うのに、それは何度も何度も続く。私も妹子も上手じゃないけど、この行為が好きだった。唇を触れ合わせて、額と額をこつんとくっつけて。私と妹子が1つに溶け合ってしまいそうになるこの2人だけの空間。2人だけ。今さらその響きが擽ったくて、小さく笑うと妹子も瞳を細めて、もう一度唇が重なった。







<<唇から伝染する>>





Title 確かに恋だった様

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テーマ「人外ファンタジー」
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