いつもの冷静沈着で、賢くて大人っぽい。しかもスポーツも出来ちゃう。そんな何でも器用にこなしてしまう完璧な柳蓮二くん。私の憧れでとっても好きな人。お話しするときはとっても緊張してうまく喋れなくなっちゃうけど、そんな私にも優しく接してくれる彼は、時々すごく恥ずかしい事をさらっと言ってきたりする。それにいちいちどきどきしちゃう私も私なんだけど。

「おはよう、みょうじ。今日も良い天気だな」
『おはよう、柳くん!ほんと良い天気だね』
「今日の体育は外だった筈だから、日射病などには気を付けるんだぞ」
『うん、ありがとう。柳くんも強い日差しが苦手なんだから気を付けてね』
「あぁ。…みょうじ、髪に木の葉が付いてしまっているぞ。どれ、取ってやろうじっとしていろ」

柳くんはそういうとすっと手を伸ばしてきて私の頭に付いていた葉っぱを取ってくれた。学校に来るとき、一度強い風が吹いたからその時に付いちゃったのかなーなんて考えていたら、柳くんは葉っぱが取れたのにまだ私の頭を触っていて、私がありがとうとお礼をしてもまだ手を離してくれない。こんな人が見てるとこでなんだか恥ずかしいよー!と目で訴えていると柳くんは少し微笑んで手を頭から離してくれた。

「みょうじの髪が柔らかくて触り心地がよくつい、な。…すまない」
『謝る事じゃないよ!でも、少し恥ずかしい、かな…?』
「恥ずかしがってるみょうじもとても可愛いぞ」
『はう!』
「どうした?」
『な、何でもない!』

普段はとってもクールなのにこういう時だけそんなにっこり笑ったりするなんてずるいよ柳くん!私はそんなあなたに手も足も出なくて、きっと実は演技で私は柳くんの良いように手のひらで転がされているだけなんじゃないかと柳くんと廊下で別れて自分のクラスに入って幸村くんに相談したらきっぱりそれはないと言われてしまった。

「蓮二はみょうじさんの事となるといつもと違うからねー。あれには俺たちも驚いたよ」
『そうなんだ』
「うんうん。好きな子にはとことん甘いってやつだね。しかも無自覚」
『無自覚、ですか…』
「そう。しかもこれまた無自覚に嫉妬深いときた。ほらね」

幸村くんがにっこり笑って私の後ろの方を指差したから振り返って見てみると、教室のドアのところに柳くんがもたれるように立っていてなんだか少し怒ったように幸村くんを見ていた。幸村くんは「ね、俺の言った通りでしょ?」と後ろから柳くんに聞こえないように言った。柳くんは眉をひそめたままつかつかと教室に入ってきて私と幸村くんの間に割り入ってきた。

「おはよう、精市。随分とみょうじと仲が良さそうじゃないか」
「まぁね。同じクラスだし。でも蓮二の大事なみょうじさんを取ったりしないから安心してよ」

そういって幸村くんはA組に行ってくると言い残し去っていってしまった。残された私たちはなんだかお互いに気まずくて二人してお互いをちらちら見ながら様子を伺ってたけど、柳くんが深い溜め息を吐いて困ったように笑っていた。

「本当にお前と居ると自分が自分で無くなってしまって困るよ。見苦しい所を見せてしまったな」
『ううん!なんか嬉しかったよ』
「そうか。後で精市にも謝っておかねばな」
『そうだね』

二人でくすくす笑い合っている所を、A組に行った筈の幸村くんとプリガムレッドの三人が見ていたのを私達は知らない。

「なんだよぃ、あの柳の顔」
「ね、面白いでしょ?」
「あんな中学生らしい参謀見たんは初めてじゃ」
「柳先輩、あんな風に笑うんッスね…」
「こりゃ明日は大雨じゃな」
「そんな事言ってたらこれから毎日大雨だよ」
「まじッスか?!」
「嘘だろぃ…」

(20130528)
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