貴方の姿が見えただけでどうしょうもないくらいに胸がうるさくなるし、ただの他愛もない会話でもまともに話せなくなってしまって全然いつも通りにできなくて自分が自分でないみたいになってしまう。でも貴方を見ているだけで胸がきゅんと切なくなって幸せになる。そんな私の初恋。真田君を遠くから見つめていられるだけで私は幸せ。たとえ貴方に大切な人が居たとしても。

「なまえさん、もう真田君を見るのはお止しなさい…。貴女が辛くなるだけです」
『柳生君…』
「彼には大切な女性がいる事、貴女も解っているでしょう」
『それでも、私は…』
「私は、大切な友人がこれ以上傷付くのは見たくない。だからもう、真田君を想うのはお止しなさい」

そういう柳生君はとても辛そうな顔をしていた。柳生君は私が真田君に恋人がいるということを知っていても尚、彼の事を想っているのを知っている。彼は私が真田君の事を好きだと知った時からずっと辛いから止めておけと言ってくれている。彼の言うことは全くもってその通りで、私も早く彼を諦めた方がいい事くらい解ってる。でも、それでも、彼が一生懸命テニスをしている姿を見かける度に彼の事を好きだと実感してしまう。

『私は、真田君が私の事を想ってくれなくてもいいの。こんなの只の自己満足 だって解ってる。でもいいの…私は自然と真田君を諦められる日までずっと真田君を好きでいるの』
「なまえさん…どうして、貴女は…」
『ありがとう、柳生君。柳生君にはこれからも迷惑かけちゃうかも知れない。ごめんね』
「迷惑と思っているのならこんな役割、とっくに投げ出しています。でも、貴女は本当に私の大切な友人だ。その友人の為なら、貴女が彼を諦められる日まで付き合いますよ」

私は辛そうに、でも優しく微笑む柳生君の胸で少しだけ泣いた。

『ありがとう、柳生君』

(20130515)
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