どうも最近、弦一郎くんの様子がおかしい。家がお隣同士で小さい頃から知ってて、いつも遊んでて家族ぐるみの付き合いもある。精市くんと知り合ってからは三人だけど、ずうっと一緒に居たのに最近、弦一郎くんが私を避けてる?気がする。なんで疑問系なのかというと、特に面と向かってお前と一緒にいるのが嫌だ、とか言われた訳ではないし、今も一緒にいてくれるから。でも、どことなーく今までとは違う気がする。私、なにか弦一郎くんに悪いことしたかな?


『と、いう訳なんだけどどう思う?柳生くん』
「そうですねぇ…どう、と言われましても」


自分で一生懸命考えてみたけど全然わからなくて、だから同じクラスで弦一郎くんと仲のいい柳生くんに聞いてみた。柳生くんは私とも弦一郎くんとも仲良くしてくれるし、部活も委員会も一緒だからなにか知ってるんじゃないかと思ったんだけど、柳生くんは少し考えるように黙ったあと、少しだけ喉を唸らせた。


「私よりもよっぽどなまえさんの方が真田君と行動を共にしていますからね…なまえさんが解らないのであれば私にちょっと…」
『そっかぁ、男の子目線ならなにかわかるんじゃないかと思ったんだけどなぁ』
「男の子目線…?」
『うん。もしかしたら女の私はなんともなくても男の子の弦一郎くんには嫌だと思っちゃう事を私がしちゃったんじゃないかなって』
「ふむ、」


そう言うと柳生くんは再び考えるように腕を組んだ。そしてしばらくの沈黙の後に、少しお伺いしたいのですが、と口を開いた。


『え、う、うん。』
「なまえさん、貴女は何故、真田君に避けられていると感じたのでしょう。本当に何となくという訳ではなく、何かきっかけのようなものがあった筈です」
『え、えっと、帰りはだいたい私と精市くんと弦一郎くんの三人で帰るのは知ってるよね?それで、精市くんが途中で道が違うからお別れするんだけど、二人になったとたんになんだかそわそわして歩くスピードが少し早くなって、お家に着いても挨拶もそこそこって感じですぐ入っていっちゃうし…』
「はい」
『晩ご飯を弦一郎くんのお家で頂く事が結構あるんだけど、前はご飯が出来るまで弦一郎くんのお部屋で二人で待ってたのに、最近はお部屋にあまり入れてくれなかったり』
「ほう」
『あ、あと一番気になってるのがひとつ!』
「お教え願いますか?」
『最近、弦一郎くんが私と目を合わせてくれないの。私の方から目を合わせてもすぐ目を逸らしたり、帽子で顔を隠しちゃうの』


なんだか思い出しただけでも悲しくなってきちゃった。私、ほんとに弦一郎くんになにかしちゃったんだろうか。弦一郎くんは他の子達とは違って見た目がすごく大人びていているし、とっても真面目な性格で一見、恐い人に見えがちだけどほんとはすっごく優しい。だから私に対して思う事があっても気を使って私に言えないんじゃないだろうか。このままなんてやだな、弦一郎くんと仲直りしたい。


『弦一郎くんと仲直りしたいよ、柳生くん…前みたいに戻りたいよぉ…』
「……なまえさん、お言葉ですが、真田君はなまえさんに何も怒っている訳では無いと私は思いますよ」
『ほんとにっ!?』
「だだ、前の様に戻る、というのは恐らく出来ないと思います」
『え、』


柳生くんはそこまで言うと逆光でその奥を決して見ることができない眼鏡をくいっと上げて、見ることはできないけど多分、キラリと目を光らせた。


「真田君は、なまえさんを一人の女性として意識しているのですよ」

*真田出てこねぇ…
(20130412)
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