*百合要素あり

ムカつく。ムカつくムカつく。あの二人がムカつく。私の杏ちゃんに気安く話しかけやがって。杏ちゃんのお兄さんが男子テニス部の部長で、その部員である伊武と神尾はその繋がりからかよく杏ちゃんに話しかけているのを目にする。杏ちゃんは私のものなのに。杏ちゃんが転校してきたその日から私は杏ちゃんに恋をした。女の子が女の子に恋だなんて変かも知れないけど、好きになってしまったものは仕方ない。だって杏ちゃんが大好きなんだもの。

「ねぇ、杏ちゃん!今日帰りにストリートテニス場行こうぜ!」
「いいわねー。伊武くんも行こうよ」
「なんでわざわざ俺があんたらと行かなきゃならないんだよ…。…まぁ、別にいいけど」

また神尾!あいつは杏ちゃんの事が好きなのはわかってる。正直一番邪魔なのは神尾。杏ちゃんとここぞとばかりに話しかけては嬉しそうにしてるし、ストリートテニスに誘ったりしてる。あいつと杏ちゃんを二人きりにさせる訳にはいかないから私もついてくけどね。伊武は恐らく、杏ちゃんもテニスやってて話も合うし、橘先輩の妹だからって感じで親しい女友達程度だとは思うんだけどやっぱりムカつく。あーほんとあいつら消えてくんないかな。杏ちゃんは杏ちゃんであいつらの事結構好きみたいだからそれが余計にムカつく。ああ、杏ちゃん杏ちゃん杏ちゃん!男なんかと仲良くしないで。それこそ、私以外の女だって杏ちゃんと仲良くする事だって許さない。杏ちゃんが私のものだけでいてくれたらいいのに!いっそ、この世界が私と杏ちゃんだけだったらいいのに。そしたら杏ちゃんは必然的に私が女の子でもきっと私の事を好きになってくれる。そのためにはまず杏ちゃんに近づく邪魔な虫を潰さなくちゃ。そうして杏ちゃんに近づく人間全てを排除しなくちゃ!そして私の事を杏ちゃんに大好きって言ってもらうの。私しかいらないって。あ、でも私大変なこと思い出したわ。


『私ってまだ一度も杏ちゃんとお話ししたことないんだった』

(20130509)


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